クロマティの(今は亡き)ヤクルト高野からの逆転HR、ブライアントの西武撃墜の4打席連続本塁打。バースのシリーズ本塁打連発。ボブ・ホーナーの鮮烈デビュー。デストラーデのあの(憎たらしい)ガッツポーズ。懐かしさ爆発のビデオです。これもDVDにはならないんでしょうか?
クロマティの(今は亡き)ヤクルト高野からの逆転HR、ブライアントの西武撃墜の4打席連続本塁打。バースのシリーズ本塁打連発。ボブ・ホーナーの鮮烈デビュー。デストラーデのあの(憎たらしい)ガッツポーズ。懐かしさ爆発のビデオです。これもDVDにはならないんでしょうか?
20年近く前に購入して読みました。(今は手元にありません。)
共著者のホワイティングの書き方が上手いのかもしれませんが、人間観察が鋭くて、空気も読める、非常に頭の良い選手だなあという印象を受けました。
既に、ダレルさんや boo-gon さんが詳しく書かれているので、主にそれ以外で覚えている話を書きます。
クロマティが日本プロ野球で成功した要因は、本人曰く「アジャスト(順応)」だったそうです。
例えば、当時の MLB では真っ向勝負が多かったけれども、日本は変化球攻めが多いので、際どい球はファイルにしたりして打ちやすい球が来るのを辛抱して待たなければならない、という様なことです。
対照的な選手がレジー・スミスで、MLB での実績はクロマティよりも遥かに上だったためかプライドが強く、日本プロ野球にアジャストできないまま在籍2年で退団して、年齢も高かった(39歳)せいか、そのまま引退してしまいました。
当時の関係者に関する観察結果やエピソードも興味深いものばかりです。
【ジャイアンツ】
・王貞治 … 1984年のシーズン初め、不振に陥っていた頃、料亭の個室で指導を受けた。故郷を遠く離れた隠れ家のような場所で世界のホームラン王という達人から明解な打撃理論をマンツーマンで伝授されたことに感銘を受けた。(他のコーチは、いくつものやり方やステップを混ぜ合わせて教えようとするが、王さんの指導は、脇の下に雑誌(または新聞)を挟んで落ちないようにバットを振る、というシンプルなもの。)試合前のチームのバッティング練習で、監督の王さんがホームランを連発するのを目の当たりにして、「今でもクリーンナップが務まるんじゃないか!?」と驚いている。しかし、監督としての手腕には時折疑問を投げかけている。
・長嶋茂雄 … 宮崎
キャンプで知り合う。常に笑顔で明るい。王より人気があるというのも頷けると語っている。
・藤田元司 … 監督が藤田さんになってから、チームの雰囲気がガラリと変わり、物事が上手く進むようになったと、驚きながら述べている。
・須藤豊 … 当時の2軍監督。常に元気で、クロマティとは気が合っていた様子。
・原辰徳 … ややナルシストな一面を嘲笑する一方で、ちゃんとウェートト
レーニングをすれば、もっとホームランの数も増えるだろう、という見方もしていた。
・篠塚利夫 … 腰痛による欠場が多く、皆から仮病を疑われており、陰では「シャミヅカ」(=三味線を弾く×篠塚)と呼ばれていたことや、チーム1の男●の持ち主だと暴露した。(つまり、クロマティのモノよりも大きい。。)
・江川卓 … あるシーズンオフで太り過ぎたため、春の
キャンプで再会した時、あまりにもお腹が出ていることに大笑いした。1987年、まだやれるはずなのに引退したことを、クロマティは訝しんでいた。
・桑田真澄 … 高校を出たばかりの人間が不動産投資をするという当時の常識では考えられないことをやっていたために、マスコミからバッシングされ、チーム内でも浮いていた。しかし、クロマティとガリクソンは彼のことを高く評価していた。ジャイアンツが優勝して皆でビールかけした時、桑田が一人ぼっちになっているのを目撃して、「俺はコイツが好きなんだ」と桑田に近づいてビールをかけまくった。またガリクソンは自身の息子のミドルネームに「クワタ」と名付けた。
・ビル・ガリクソン … 日本での生活に馴染めず最後はノイローゼ気味になっていた。MLB に復帰した時、アメリカの生活(または野球)の良さを再認識した。数年後、MLB でシーズン20勝投手になる。
・レジー・スミス … 頭が上がらなかった相手。「元々、お前はアベレージヒッターなんだからホームランを狙おうとするな」という風に諭されたりした。
・務臺光雄 … 当時のジャイアンツの実質的なオーナー。優勝祝賀会の最初に行ったスピーチが1時間近くに及び、みんなで乾杯する頃にはビールはぬるくなっていた。
【カープ】
・津田恒実 … 1987年8月20日、9回裏、カープが1点差リードした状況で真剣勝負を挑んできたことに敬意を払っている。結果はクロマティの逆転サヨナラホームラン。
【ホエールズ】
・若菜嘉晴 … 図体がデカいくせに、やることはセコい、…だったと思う。
【ドラゴンズ】
・落合博満 … 1988年、セ・リーグ(ドラゴンズ)に移籍してきて初めて対戦した試合で、二塁ランナーのクロマティが三遊間で挟まれて、三塁手の落合に
タッチされてアウトになった時、セ・リーグに移籍してきたお祝いとして笑顔でハグしたら、ムッとされた。
・星野仙一 … 選手に対して鉄拳制裁を振るうことが多く、ドラゴンズの殆どの選手は萎縮していた。けれどもゲーリー・レーシッチだけは彼に反発し、「俺と腕力で勝負するのか?」と逆に挑発した。星野は苦笑いを浮かべてその場を去ったという。クロマティ曰く「あいつはクレイジーだ」。
【バッファローズ】
・デービス … ボールを故意にぶつけた東尾を乱闘で殴打した選手。大麻をやっていたことは知らなかったので、逮捕のニュースを見た時は驚いたと語っている。
【エクスポズ(MLB)】
・ゲーリー・カーター … 来日前に所属していたエクスポズ時代の同僚でキャッチャー。彼の態度が気に入らなかったらしく、陰でチームメイトと嘲笑していた、…だったと思う。2003年にアメリカ野球殿堂入り。
・アンドレ・ドーソン … 同じくエクスポズ時代の同僚で外野手。仲が良かった様子。2010年にアメリカ野球殿堂入り。
当時の日本プロ野球に対する見方も面白いです。
・日本人選手は試合前の練習をやり過ぎてしまい、試合が始まる頃にはヘトヘトになるので、試合で力を発揮できていない。
・日本人の先発投手は酷使されることが多いせいか、暑くなってくる夏場以降は早い回でバテることが多いので、その頃になるとカモにしやすい。
他にも面白い話や驚くような話があったと思いますが、だいぶ前のことなので忘れてしまいました。
彼は7年間在籍したジャイアンツで素晴らしい成績を残しており、またダイビングヘッドスライディングや、ホームランを打った時のガムを膨らませながらのガッツポーズや、勝利後のファンと一体化したバンザイなど、エンターテイメント性もあり、当時は原と並ぶと言っても過言ではないジャイアンツの人気選手でした。
それだけに、彼がこの本でジャイアンツの内情を暴露してしまったことは当時として非常にセンセーショナルな出来事であり、その後、ジャイアンツからクロマティに対してコーチなどの声がかからないのも、この本が少なからず影響しているように思います。
この本は巨人で最も長く活躍したガイジン選手ウォーレン・クロマティとロバート・ホワイティングの共著。
出版した当時(91年)、暴露本として騒がれた記憶があるけど、その程度じゃないよ。もっと↑。クロマティの人間観察って鋭いよ。日本で長く活躍できたのは、この洞察力なんだろうね。これは「読売巨人軍」じゃなくてもどこの会社でもよくありそうな話。
例えばこう。黒間君が入った会社の部長の王さんは営業マンとしてはなかなかの業績を上げてたけれど、上司としては×。部下の信頼を得られないし成績も上げれず苦戦。だけど黒間君は営業マン時代の王部長を尊敬し、息子の名に王という名をもらった。主任の中畑さんはやたらに声がでかく、あのテンションの高さはどこからくるのか不思議。前の部長である長嶋さんを慕い、影で王部長をワン公と呼んでいる。江川さんは勤務時間内は要領よく疲れない程度に働き、家のローンが払い終わったら、会社を辞め独立しようと考えている。その方が収入が高いことは試算済だ。期待のホープ原君は、取引先のOLからおばちゃんまでにナイス・ルッキングで絶大な人気があるけど成績はいまいち。トイレの鏡でこっそり笑顔の練習していたのを黒間君は見てしまった。黒間君は妻子を残して単身赴任中なので、夜は飲みに出かける。そこで同郷の馬須(バース)さんらと会社の愚痴を言うのが唯一の楽しみ。ナンパしたりされたり。好みのタイプは石原真理子。日本人は働きすぎだ。仕事よりも大切なのは家族だと思っていたのに、すれ違うようになり後に離婚。休みに地元に帰っても
六本木が懐かしく感じる黒間君なのでした。
巨人軍の選手が何も考えず、TOPに従いすぎだと批判的だったのに、破格な給料を捨てることは出来ず、自らも企業戦士となっていく。こうして「和」を学んでいくのと同時に、貧乏な生い立ちからサクセスした一個人の自伝としても、日本の生活を率直に驚いて書いてあるし、日米の文化比較としても面白い。もっとも文化比較のあたりはホワイティングが書いてるんだろうけど。
日本人選手が好んで行くホステス・バーに行った時、処女みたいな女の子を高いお金を払って口説いて、デートに誘い出すより、スタンド・バーに飲みに行った方がいい。手っ取り早いと書いてあった。うーん。なるほど。
王監督について。巨人では良い選手だけど良い監督ではなかったみたい。外からのプレッシャーと同時に、100%日本人じゃないから、バッシングの対象となりやすく、色々な怒りを溜め込み、ピアノを弾くのがストレス解消という繊細なところを親近感を抱き、母子家庭で育ったクロマティは父親の面影を探している。アタシも好きになった。長嶋より王だ!現ダイエーでは王監督はチームを何度も優勝させている。環境を変えるのって大切だとつくづく思う。そして自分に意味なく期待したりして。
この本には、ナベツネの言う「たかが選手」なんて選手は1人もいなかった。