●たくさんの一次文献を引きながら、目の構造や歯の形状の共有派生形質に基づく深海魚の系統を論じている部分が目立つが、内容的に細かすぎて読んでいて退屈感がある。全体に、「調べたことぜんぶ書きました」的であり、どういう読者を想定しているのかわからない本という印象を受けた。
●イラストは美しいが、研究者の解釈に著者のイメージを加えた想像図だと思うと、リ
アリティーを感じづらく、せっかくのカラーイラストも楽しめなかった。
●新書は、研究者自身が書くのなら読者層の設定を無視した部分があっても(研究者が何を強調したいのかが分かるので意味があり)多少は構わないと思うが、科学ライターが書くのであれば読者を飽きさせないための情報の取捨選択や、レベルの均一化、読み物としての統一感などにも留意するべきだと思う。