1889年、青年
弁護士ヤンシー・クラバットは新妻セイブラと共にオクラホマ州の土地争奪に参加する。オクラホマには可能性を求めて未開拓地を手に入れようとする人々が集まった。かくして砂埃の中、数百台の幌馬車が疾走をはじめ、目的地に着いた順に自分の土地をもらえる土地競争が開始された。・・・
土地を目指して人々が馬車を走らせる場面は、物凄いド迫力。当時の人々がどれだけ新生活に向けて新しい土地を欲しがっていたか、その執念を垣間見たような気がします。ヤンシーは、先住民やユダヤ人など、虐げられた人々のために立ち上がる正義感の強い人。しかしその一方、家族をないがしろにしてしまう一面もあって、妻のセイブラと分かり合えない時もあります。自分の信念と家族の間で葛藤する夫、そんな夫を理解できないことに苦しむ妻と2人の姿が何十年もの時間をかけてじっくり描かれています。クラバット夫妻の他にも、ヤンシーを愛する女無法者ディキシー、土地争奪で夫を亡くすもたくましく生きたペグラー夫人など、夫妻を支える脇役たちも魅力的。2時間半と長い上映時間ですが、新天地の中で悩み、苦しみつつもたくましく生きる人々の姿が印象的で、一気に引き込まれました。
1889年、青年
弁護士ヤンシー・クラバットは新妻セイブラと共にオクラホマ州の土地争奪に参加する。オクラホマには可能性を求めて未開拓地を手に入れようとする人々が集まった。かくして砂埃の中、数百台の幌馬車が疾走をはじめ、目的地に着いた順に自分の土地をもらえる土地競争が開始された。・・・
土地を目指して人々が馬車を走らせる場面は、物凄いド迫力。当時の人々がどれだけ新生活に向けて新しい土地を欲しがっていたか、その執念を垣間見たような気がします。ヤンシーは、先住民やユダヤ人など、虐げられた人々のために立ち上がる正義感の強い人。しかしその一方、家族をないがしろにしてしまう一面もあって、妻のセイブラと分かり合えない時もあります。自分の信念と家族の間で葛藤する夫、そんな夫を理解できないことに苦しむ妻と2人の姿が何十年もの時間をかけてじっくり描かれています。クラバット夫妻の他にも、ヤンシーを愛する女無法者ディキシー、土地争奪で夫を亡くすもたくましく生きたペグラー夫人など、夫妻を支える脇役たちも魅力的。2時間半と長い上映時間ですが、新天地の中で悩み、苦しみつつもたくましく生きる人々の姿が印象的で、一気に引き込まれました。
アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ
探偵作家クラブ)賞」’98年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)受賞作である。ジェイムズ・リー・バークは’90年度の同賞も『ブラック・チェリー・ブルース』という作品で受賞しており、本書で2度目の受賞に輝いた。
ハードボイルド小説の魅力はその主人公にあるといっていいだろう。本書のビリー・ボブはそれにまさにうってつけの人物である。41才の彼は、警察官と
テキサスレンジャー(
テキサス州公安局承認の半官半民的捜査員)を経験したのち、連邦検事補を経て、今は
テキサスのとある郡庁所在地であるデフスミスという田舎町の
弁護士だ。彼には
テキサスレンジャー時代に誤って相棒を撃ち殺してしまったことと、かつて愛した女性との間にできた子供が今は他人の子として成長し実の親子の名乗りを上げられないことの、ふたつの過去がある。
物語は、彼の悪を憎み正義を貫くため、頭に血がのぼり我を忘れるほど暴力にのめりこんでしまったり、それらの暗い過去の亡霊や曽祖父・祖父との血のつながりから、それではいけないという矛盾や葛藤を自身の中に抱え込み、みずからをストイックに律しようと苦悩したりする姿が描かれる。
事件は、くだんの息子が容疑者となったレイプ殺人、留置場から脱走した前科者が焼き殺される事件、保安官の惨殺事件などだが、息子の無実を信じるボブの
調査や法廷でのシーンを通して、地元名士の親子の確執、胡散臭い
メキシコ人麻薬捜査官、自分の過去と関りのあるらしい凶悪な前科者、ボブが恋心を抱く保安官助手、隣人の息子とのこころのふれあいなどのエピソードを交えながら、ボブの、われわれが常識で知る
弁護士とは全然違う生き様を、深く、時には暴力的に、時には詩情豊かに謳い上げてゆく。
本書は、謎解きの興味は脇に置かれているものの、癒せぬ傷を抱えた男の誇りと哀しみに満ちた、読み応えのあるネオ・ハードボイルド・ストーリーである。