映画の出来がとてもよかったので、作品関連の情報が読みたくなり、パンフレットを入手。
出版社リトル・モアが映画製作に関わっているせいか、よくある薄味のパンフレットとは一線を画す。
格子柄の表紙。青い部分は、映画でも出てきた水面で、白い部分は辞書。海と辞書で、表紙を編んでいる。
表と裏はつながっていて、海の色が強い青から、裏に行くと辞書の白さが強くなる。広げて見るとうつくしい。
本体中程には、違う紙のページがあり、それは映画の中で出てきた『大渡海』に使用された、実際の本文用紙。
独特の”ぬめり感”を自分の指先で確認できる。
クレジットには堂々と名前があるが、”あれ?どこで出てきたんだろう”という
麻生久美子さん。
彼女は『大渡海』創刊キャンペーンのポスターに赤ちゃんを抱いて移っていた女性の役。
そのポスターが1ページ大で収録されている。
シナリオも収録されている。この映画の名場面のひとつ、香具矢さんがもらったラブレターが読めなくて、
でも何とか読んで、その怒りと鬱憤をぶつけつつ、馬締に「言葉で言って。今、言って」と迫るシーン。
その宮崎さんの科白が、ここですべて読める。
最後の出演者紹介ページ。35人が登場。全員が同じボリューム、フォーマットで、彼らがひとつの言葉を選び、
その語釈を自分で書くという画期的な展開。誰がどんな言葉を選んだか。松田さんは「存在」。宮崎さんは
「おもてなし」。オダギリジョーさんは「言葉にならない」。黒木華さんは「花粉」。
八千草薫さんは「鉛筆」。
加藤剛さんは「真心」。それぞれの個性が表れている選択、語釈もいい。
辞書作りの実際をまとめたページ、辞書編集者たち3者の鼎談(その中には馬締のモデルとなった人もいる)、
さらに13種類の国語辞典の「恋」の語釈を載せたページ(映画でテロップで示された『大渡海』のものもある)
など。様々な角度で、情報てんこ盛り。