ビートルズの影響を受けたアメリカのグループは無数にあり、多くはガレージバンドのようにすぐにトーンダウンしたりしちゃって、ああ〜、やっぱギター持ってイエーイエーいえばいいもんじゃないよな、と改めて思わされることが多い。が中には素晴らしく後世に名を残すグループもあるものだ。バーズやラビン・スプーンフルなどはまさに、そんな後世に名を残すグループである。ラビン・スプーンフルの素晴らしさはヒット曲の多さもさることながら、ビートルズなどの影響を受けながらも、しっかりとオリジナルの世界観を築く才能があったということだ。このアルバムは代表曲の『魔法を信じるかい』を含んではいるが、多くはアメリカのトラッドやブルースなどを彼等なりの切り口で紹介している。その解釈が実にオリジナリティ溢れるもので今でも新鮮さを失っていない。さらにそんな彼等のスタイルがやがてはキンクスのようなブリティッシュ系のグループに影響を与えていくのだから、まさに世の中とは輪廻の輪のようなものなんだよなぁと焼酎好きの坊主みたいなことを考えちゃったりするのだ。ただ惜しまれるのは、メンバーがあまりにも気色悪いという点だ。中にはレーガン元大統領のお面を付けたような顔をした奴もいるから、下手すればコントかと間違われるかもしれない。そういう顔の奴等がこういう素晴らしいアルバムを作る。まさに天は二物を与えずを地でいくバンドだ。
1965年から1969年までと第1期の活動期間が短いラビン・スプーンフルは同時期に6枚のオリジナル・アルバムを発表した、
本ボックスは1967年第5作"You're Big Boy Now"を除いた5作品のセット、
ファンには既知事項だが、裸の男女が走っている
ジャケットのアルバムは契約の関係でラビン・スプーンフル名義で発表したもの、
5枚目のアルバム発表後に音楽上のリーダーだったジョン・セバスチャンは脱退、バンドとしては解散状態になったがドラマーのソロ・アルバムとして製作されたものがラビン・スプーンフル名義で発表されたのが事実らしい、
ファンとすれば6枚目を除いた1〜5作でボックスしてほしいところ、
なにか大人の事情でこの五枚になったような気もするが、廉価で
ボーナストラック付きなのでマジック・サマー時代の音に興味のある音楽ファンにはお勧めです。
このバンド、全員がモンキーズのオーディションに落ちたというトホホなキャリアがあるのだが、
ザ・ビートルズに対抗するためにアメリカの軽音楽業界が総力を挙げて取り組んだようなモンキーズのコンセプトには
しょうしょうタレント性に欠けた男たちだったことは間違いない、
ところがジョン・セバスチャンの創作力はモンキーズに選ばれた4人とは桁が違ったからこその記録がここにあります。
別のベスト・アルバムの商品ガイドを真似れば「ロックの歴史から黙殺されているが、魔法を信じるかい? デイドリーム、そしてサマー・イン・ザ・シティのように重要なヒットをだしたバンドは他にない!」となる、
それもモンキーズは作詞作曲は別チームが担当したが、ラビン・スプーンフルは自作自演でもある。