「映画化」の上手なサンプル。原作を忠実になぞっていないことがなにより賢明。おかげで一級の娯楽作に仕上がっている。主演2人のインタビュー映像を見れば、軽妙な演技が実はどれほど綿密に練り上げられたものか、かいま見れます。どんなコミカルな場面でも、真摯に張りつめた心構えで臨まれているのだと改めて感心。一流が一流たるには、それなりの理由があるものですね。ところで、オープニングでジェフリー・ラッシュが
スーツを仕立てているシーンは、マジだったのでしょうか?
ピアース・ブロスナンの見せる「危ない男」の魅力が満載です。単なるスパイ映画ではなく、男の魅力を見せる映画ではないでしょうか?ストーリーでは人間の心の複雑さ、もろさ、卑しさを巧みに感じさせる映画だと思います。
「映画化」の上手なサンプル。原作を忠実になぞっていないことがなにより賢明。おかげで一級の娯楽作に仕上がっている。主演2人のインタビュー映像を見れば、軽妙な演技が実はどれほど綿密に練り上げられたものか、かいま見れます。どんなコミカルな場面でも、真摯に張りつめた心構えで臨まれているのだと改めて感心。一流が一流たるには、それなりの理由があるものですね。ところで、オープニングでジェフリー・ラッシュが
スーツを仕立てているシーンは、マジだったのでしょうか?
パナマという熱帯の国で、サヴィルロー仕込みをうたう高級紳士服の
仕立て屋が、いつのまにか国際的な茶番劇を「仕立てて」しまうというお話。
苦悩しながらも仕方なくほらを吹く仕立て屋を、ジェフリー・ラッシュが
好演している。
(本筋とはあまり関係ないが、オープニングで見事にチャコを引く
ジェフリー・ラッシュはなかなかカッコイイ)
ほら話がどんどん大きくなっていって収拾がつかなくなると同時に、
仕立て屋の立ち位置が気の毒になってくるという筋立てで、派手な
アクションは無し。かといって社会派ドラマかというとそうでもなく、
微妙なペーソスとブラックユーモアの効いた作品に仕上がっている。
20世紀末のパナマの風景が美しく、普通に見ていても結構面白い作品
ではあるのだが、作中に出てくるパナマの政治状況や仕立て職人の微妙な
社会的立場がわかっていると、より一層面白いのだろう。
(「
アリババがいなくなって、40人の盗賊が残った」という台詞や
支配階級と接しながらも一段低く見られているところなど)
悪役(の一人)といっていいブロズナン演じる諜報員は、スケベで
どうしようもないが要領だけは良いという、まさしくチンピラそのもの。
勿論、ジェームズ・ボンドへの皮肉である。