グレイテストヒッツ(編集)盤を好んで聞く人は音楽ファンではあまりいないんじゃないだろうか…少なくとも僕はそうだ。キャリアの長いバンドなどは入門編としては仕方ないけど、多分にオリジナルアルバムの持つ素晴らしい風味を失いかねない。そこにはレーベルの良からぬ企みがあっりするし、必ずしもベストとは言えないものは多いし…理由は様々
しかしこのブラーの『ザ・ベスト・オブ』はどうだろう。ファン投票によって決まった文句なしのグレイテストヒッツアルバム。「Beetlebum」から当時の新曲「Music Is My Rader」までおよそブラーの歴史を彩った輝かしいナンバーである。例えばファン投票でなければ、ブラーにとって悪い意味でいわくつきのヒット曲「Country House」は入ってなかったはずだし、逆に本人たちが絶賛してやまない「Popscene」は入っていただろう。しかしながら、それをも考慮しても完璧だと思う。そもそもブラーはオアシスとは違い「僕らはロックンロールのひとかけらもない」と声明したバンドだ。「最終的にはポップなら、ポップバンドと呼ばれてもいい」との旨を明らかにした。ならばベスト盤が自己満足の編集ではなく、ファン投票なのは当たり前なのだ。
ともかくこのアルバムに関しては躊躇なく聞けるし、もちろん入門編としてもOK。これからはグレアムがいた時代のっていう括りで聴いても良しだと思う
ちなみにジャケもポップだが、実はイギリスの有名なアーティストが描いているそうで…
GIRLS AND BOYS等ヒット曲満載。このビデオは、BLURが傑作パークライフをリリースした後に行われたライブを収録したものです。1stのleisure、2ndのmodern life is rabbish、3rdのPARKLIFEからバランスの良い選曲で構成されたライブです。ケミカルワールドなどを聴いてると、鳥肌が立つほどしびれます。ぜひどうぞ。
ブラーというバンドが輝きを放った1990年代、それはイギリスにとっても特別な時代だった。
「クール・ブリタニア」という言葉が、生まれたのもこの時期だ。
イギリスの音楽・建築・ファッション・映画・スポーツなどのカルチャーを一番かっこいいと表現した言葉。映画「トレインスポッティング」
ユアン・マクレガーが、その原作者アーヴィン・ウェルシュが、映画「ザ・ビーチ」原作者アレックス・ガーランドが、モデルのケイト・モスが、デザイナーのアレクサンダー・マックイーンが…。
そう、長い間続いた保守党の政権から労働党が政権を奪ったのもこの時期。
トニー・ブレア首相は、新しい時代の象徴となり、イギリスの停滞した流れが変わりそうな機運があった。
そんな特別な時代にバンドとしてピークを迎えたブラー。
そして、彼らと同じ時代にはほかにもスペシャルなバンドがいた。
そう、Nirvanaとオアシスだ。
ブラーなどイギリスのブリットポップが花開くきっかけを作ったのは、Nirvanaのカート・コバインの死でポッカリと空いてしまった人々の心の穴だ。
そして、Nirvanaがいなくなったこの世界に、イギリスのバンドであるオアシスがデビューする。
ローリング・ストーンズやビートルズを生んだ60年代のイギリスが特別だったように、確かにこの時期のイギリスはスペシャルな時を迎えていた。
そして、不幸なことに、オアシスVSブラーのCD売上戦争が勃発する。
ブラーが特別なのか、それともオアシスが特別なのか。
だが、最終的に問われたのは、音楽ではなく彼らの出自だった。
ビートルズもローリング・ストーンズもセックスピストルズも労働者階級出身だった。
労働者階級出身のオアシス、中流家庭出身のブラー。
CDの発売日を同じ日に当てた直接対決はブラーが勝利したが、その後、オアシスの2作目は計10州全英1位の大ヒットを記録する。
イギリスにとって階級差は、常に意識せざるをえないものだ。だから、彼らは労働者階級出身のオアシスを応援した、オアシスが彼らの代表であるかのように。
そして、現在、オアシスは2009年活動停止。ブラーは2003年以降長らく活動停止をしていたが、2009年夏に再始動した。
そして、この2003年以降、ブラーのデーモン・アルバーンの活動は目を見張るものがあった。ゴリラズとしての活動もその一つ。
本書に関して言えば、そんなブラーというバンドのベーシストのアレックス・ジェームスの半生について語られている。どんな国にも特別な瞬間が存在する。政治も経済も文化もすべてがキラキラと輝く瞬間が…。そんな特別な瞬間をとらえた、特別なバンドに所属する人間の言葉は一見に値する。