『REQUEST』の発売から20年以上経ちました。『Expressions』を繰り返し聴いていると、そこに収められている曲がかなり収録された『REQUEST』が懐かしくなり、CDラックの奥から引っ張り出して久しぶりに聞いています。
今からみるとリーフレットに解説はなく、中の写真はモノクロが1枚と実にそっけないです。逆にいえば、それだけ作品の持つ内容に自信があったのだと思われます。ある意味、竹内まりやの才能のきらめきが多くの人に評価されたからこそ、様々な人々が彼女の歌を歌っていたわけですから。
彼女自身が語っているように、河合奈保子の「けんかをやめて」など、声質の違いもあって、歌詞の持つ重みと雰囲気が少し変わるのも事実でしょう。もっともそれだけ、込められる感覚の違いを歌い分けられている証拠でもあります。
J-POPの流れの中に、アイドル歌手への楽曲の提供が多くなった時期でしたし、それゆえ、一般的に竹内まりやの一層の魅力が認められた時代でもありました。
この『REQUEST』はセルフカヴァーのはしりの様なイメージをもっています。他のアーティストへ提供し、それがヒットしたわけですから、上手くいかないと失敗に終わる企画ですが、このアルバム発売後、その収録曲が親しまれ、愛され続けてきたという20年の歴史が真っ当な評価を下していると考えます。
1994年の『IMPRESS
IONS』、2008年の『Expressions』の礎を作った『REQUEST』の価値は図り知れませんし、ベスト・アルバムが作られたといって、その存在が軽くなることもありません。1987年の竹内まりやが、ずっと20年以上愛され続けているというこの重みは多くの人が感じることでしょうから。