WOWOWノンスクランブルアニメーション『
奏光のストレイン』の第2,3話を収録したDVDです。
裏切り者となった兄によってグラベラは殲滅、親友は皆殺しにされ、
ストレイン操縦に必須のミミックさえ破壊された衝撃の第1話から
再起した主人公セーラの不屈の闘志と執念が炸裂します。
それでも兄に再会したいと純粋な想いを胸に、愚直に練習に打ち込むセーラ。
彼女を疎み忌み嫌う練習生達の人間的未熟さと陰湿ないじめの嵐に、観てるこっちが憤ること必至です。
どんな仕打ちにあっても決してくじけない鉄の意志との相対描写は人の中に溢れる表裏一体の感情そのもの。
さらに第3話の亜空間航行中の練習艦へのありえない襲撃。
「これは演習ではない!繰り返す!これは演習ではない!!」と叫ぶ艦内放送が
突然の戦闘の絶望感、緊張感をさらに盛り上げます。
女だろうとひよっこ練習生だろうと戦場で次々と殺されていく圧倒的劣勢は阿鼻叫喚の地獄絵図。
戦場の非道さ残酷さが濃厚に表現された展開に、これは最終回か?と観てるこちらも動揺してしまいます。
しかし最後の最後に彼女と彼女の出会いが起こした起死回生の奇跡は、
今までの鬱憤を払拭させるような熱いカタルシスに溢れています。
底から湧き上がる重厚な音楽と、亜空間戦闘中の緊急発進警告音がさらに高揚感を煽ります。
余談ですが、WOWOW放送時の第1〜3話を観た友人曰く『客を乗せるのが上手い』とのこと。
「美少女メカアクション」の見た目と裏腹に視聴者を完全に裏切った重厚な展開は観る者を惹きこみます。
第3話最後はまぁ、ご都合主義といえばそうなのですが、
それを感じさせない作品に対する作り手の気合にも感服です。ぜひ一度は観ていただきたいですね。
この曲がオープニングを飾る
奏光のストレインは、一言で言うと人が沢山死ぬ話です。
1話で学校の仲間たちが沢山出てきて、これからこの仲間達と切磋琢磨して主人公が成長していくんだな、と思った矢先、敵の襲撃です。しかも生き残ると思っていた男子生徒も死に、主人公は完全に一人ぼっちになってしまいます。
こういった話の中でも、主人公は必死に兄を捜し続けます。この心情をこの曲の「アイタイ、ヒトガ、イルノ」の部分で物語っていると思います。この曲は少し短いですが、その短さに負けない質があると思います。全体的に幻想的で、聴いていて気持ちがいいです。
今となっては少し古めの曲になってしまいましたが、それでも是非聴いてほしい曲ではあります。