ジェット機時代に突入してからはヤコヴレフの制式機は何れも少数生産で、Yak-38も決して大量生産された機体では無く、しかもNATO名はフォージャー(偽造者)とホーカー ハリアーの
バッタもんの様な扱いになっています。
しかし、本書ではソ連での垂直離着陸機開発の黎明期から最初のVTOL試験機Yak-36を経て制式機のYak-38M、開発中止になった超音速版Yak-41までの開発の経緯と機体の構造、実戦歴をカバーして、むしろ必要から生じた収斂現象(または平行進化)であったのではという印象を持たせる内容になっています。
ハリアーはロールスロイス ペガサスというターボファンエンジンが有った為に可能になったVTOLをYak-38でどのように成立させたかという部分は興味深いです。
更に実戦でYak-38をアフガニスタンで運用試験を行った話や、(便宜上キエフ級をこう呼ばせて頂きます)
空母ばかりで無く、Roro貨物船での運用や、トレーラーで牽引する移動式プラットフォームなど色々な場所で離着陸試験を行っていたことも注目できます。
ハリアーと同様、搭載兵装量増加と航続距離アップの為STOL運用に着目し、その運用試験に成功していながら、実運用されていない等謎も残ります。
収録された写真も比較的新しいのでカラーも多いですし(その為かカラー塗装図はありません)、Yak-38と-41の内部透視図や、型式別の左側面図など情報も多いです。
現在の処、日本で入手可能な唯一のモノグラフですので関心のある方には良い資料になると思います。
開発で成功したハリアーとは対象的にNATO名フォージャー(まがい物)と名づけられた迷機です。
個人的にスタイルはこっちのほうが好きです。
現在Yak-38Mでは一番手に入れ易いキットです。
キットはコックピットと胴体接着にクセがあり排気
ノズル近辺の分割に難があり
また後部
ノズルは水平・垂直の固定選択なのが残念。
中級者なら普通に組み立てられる良キットだと思います。
組みあがると全長33cm程で思ったより大きく適度な迫力です。
塗装ガイドはカラーでYak-38ではポピュラーなブルーとアフガン砂漠迷彩?・グレーの三種。
武装はAA-8エイフィッド2 UB-16およびUB-32ロケットポッドが各2付属
VTOL機としては成功した機体ではありませんでしたが、後のYak-141からアメリカのF−35に
そのシステムが受け継がれています。
航空自衛隊が採用するかもしれないその先祖?異母兄弟?1機いかが。