とても“打ち切り”になった番組とは思えぬ、完成度の高さに驚かされる。
7年も続いた超人気ドラマ『Gメン'75』が、曜日と時間枠を変えて『Gメン'82』として再スタートした途端、わずか17回で番組終了してしまったのは、放送当時、私自身かなりショックだった。その記憶もほとんど薄れてしまった今、改めてDVDで鑑賞してみると、ほんとによく出来た作品だなぁと感嘆する。
考えてみれば、最近は期間を置かずに何年も続くドラマの長寿番組というものがない(殊に刑事物はそうである)。あらかじめ放送期間を11〜12回ぐらいに限定して制作し、ヒットすればパート2なり3なりを作ってゆくという形を採っている。それら昨今の刑事ドラマと比較しても、『Gメン'82』は全く遜色がないどころか、それを超える豪華さ、中味の濃さがある。シリーズとして一応の起承転結もあり、ドラマ内容も、社会派、ミステリー、サスペンス、人情物、カーアクション、
香港カラテと、実にバラエティーに富んでいる。
『Gメン』の目玉である
香港カラテ編も、『'82』では毎回主役刑事を変え、アクションばかりでなくドラマ性を重視し、一話完結でテンポ良く第4弾まで楽しめる。
おまけに、『'75』で決着を見たはずの、あの“長野県黒谷町シリーズ”の完結編まで用意されているのだ。まさに至れり尽せりである。
そして、『'82』には“救い”がある。『'75』では事件関係者が次々に殺され、最後に犯人を射殺して終わるという、悲しすぎる結末が多かった(その重々しさが魅力の一つでもあったわけだが)が、『'82』においては“殺さずに逮捕する”“関係者を辛い境遇から救う”ことへの配慮がなされており、後味が良い。特に、第5話「私は殺される!」は予想外の展開の後、希望の光が見えて終わる、感動的なエピソードであった。
彼の全集が出るのを待ちかねていたのに、55周年記念が2枚とはあまりに少なすぎる。5枚、少なくとも3枚は欲しい。せめて、昔の全集に収められていた「荒城の月」を入れて欲しかった。彼の歌唱による「荒城の月」を是非聴いてみたい。