オーウェルといえば、全体主義のディストピアを描いた『1984年』が何より有名だが、彼とて最初から全体主義一般を相手にしていたわけではない。英領ビルマに赴任し、イギリス帝国主義の姿を目の当たりにしたのがその第一歩であった。その経験を元に書かれたのが、この『ビルマの日々』である。であるから、この作品は『1984年』に至る過程の第一歩目であると言えるだろう。
さすがに処女作とあって傑作と呼べる出来栄えではないにしろ、上記のような背景を抜きにしても鑑賞には耐えうる。しかし、オーウェル思想の発展のタイムラインを意識しながら読むことを強くおすすめする。というのも、『1984年』に至るオーウェル作品の原形が、すでにこの『ビルマの日々』の中に現れているからである。オーウェルの数々の評論や、他の作品などと共に読めばオーウェルの思想に対する理解も深まるだろうし、この作品をより楽しむことができると思う。代表作のみでは飽きたらず、オーウェルをより知りたいと思っている人にはおすすめできる一冊だ。
一般向け(大学、研究機関などのルート以外で入手できるという意味で)の教材の少ないビルマ語。本書は貴重な存在です。
英語で学ぶことに抵抗がなければ、CDエクスプレスよりも良いかも知れない。別売CDも非常に良い(セットのものもある)ので、併せて購入することをお奨めします。
本書の特長:
◎テキストは音声表記、ビルマ文字、
英語訳の3種類の表示で、ビルマ文字の曖昧なところが音声表示で確かめられ、特に独学者にはありがたい。
◎ビルマ文字の紹介は課ごとに少しずつ行われる。
◎別売CD3枚。音声も明瞭、スピードも無理ない。内容もたっぷり。
ミャンマーで古くから行われてきた精霊祭のための舞踏曲集。耳をつんざくような甲高い笛、ゴング、ハンドドラムなどによる祝祭感あふれるトランシーなサウンドは、民族音楽好きのみならずサイケ好きも唸らせること請け合いの凄まじさ。真夏にこそ聴きたい衝撃のサイン・ワイン合奏!!!
本筋は、失恋した男が自殺してしまうという陳腐なストーリーだが、その背景がイギリス統治下のビルマ(現ミャンマー)であるところが興味深い。イギリスのビルマ支配の過酷さや、帝国主義の醜悪さがこの本を読むと良くわかる。作者のオーウェルは「1984年」や「動物
農場」で知られている英国人の作家であるが、この「ビルマの日々」は、オーウェルの作家としてのデビュー作である。彼自身、イギリス統治時代のビルマに警察官として赴任しているわけで、この作品には自伝的要素も多分に含まれていると思われる。この作品には、正直言って習作の域を出ていない部分もあるが、オーウェルの人となりを知る意味では貴重な作品といえる。「1984年」や「動物
農場」を読んでみて、この作家に興味を覚えた人にはおすすめできる本である。ただし、値段が高い。せめてもう少し安いといいのだが。