琉球王国の歴史についての概説書である。概説書だから当然と言えば当然だが、19世紀末までの琉球の歴史について、基本的な事項がカバーされていて、通読すれば全体の流れが良く分かる。「一般向けの学術書」なので、寝転がって読むような本ではないが、比較的読みやすく書かれているので、入門書としても好適である。
特に私の印象に残ったのは、15世紀の琉球王国の大交易時代が、倭寇の跳梁に頭を悩ませた明朝の琉球優遇政策によって可能になったこと、大交易時代の琉球人がジャワ島やシャム、マラッカあたりに進出し、「レキオ」人として、勇敢さや信義の厚さで知られていたこと、徳川時代の島津氏による琉球支配は思ったより徹底したものだったことなどで、ほかにも面白い事実がたくさん紹介されている。
重要な事項は一応カバーされているのだが、記述の詳しさには多少のばらつきがある。著者の専門が中琉関係史であるせいか、薩摩による琉球征服については非常に短い記述になっている一方、琉球と明・清の関係に関する記述は充実していて、特に琉球王国の進貢(朝貢)使節の旅の様子についてはとても詳しく書かれている。ただ、個人的に興味のあった台湾の鄭氏政権(明の残党が台湾を根拠に作った政権)と琉球の関わりについて記述がなかったのは少し残念だった(何の関係もなかったとはおもえないのだが)。また、琉球処分についてももっと突っ込んで書いてもよかったように思うが、概説書としての役割は十分に果たしている。
「日本」史の一部でありながら、従来の日本史から抜け落ちがちな琉球の歴史の基本を知るのに適した良書だと思う。
法隆寺とともに日本初の世界遺産に指定されたことがうなずける
姫路城、こちらは良い!
いろいろな場所から、いろいろなアングルで、四季を通して撮影した城の姿は、
とても美しく迫力があり見応えたっぷりである。
雪で真っ白になった姿や夕焼けに映える天守閣、
紅葉と堀、そして感動的なのが桜の頃。
染井吉野のピンクと城壁の白のコントラストは、もう美しい!の一言。
姫路城を、より美しく見せたいという想いが、その撮影には感じられる。
実際に行って見るのも、もちろん良いだろうが、それだけでは、この作品のような見方はできないので、
一見の価値はあると思う。
また、外観の映像とは別に、城の歴史の解説、城内の外敵を阻む各種の仕掛けや工夫の解説も
なかなか興味深く、同じ国宝の松本城と比較した解説も面白い。
これは、
姫路城を再認識する作品かもしれない。 とにかく魅力的な城だ。
久々にDVDで見たが、映像の美しさは、やはり感動ものである。
もう一つの琉球王国の方は、貴重な遺産ではあるのだろうが、あまり見どころがない。
沖縄の自然を散りばめてくれれば、こちらも、もっと良い作品になったのではないかと思うだけに
残念である。
「グスク」という石の廃墟と、首里城内部の解説を聞きながら琉球王国の歴史を知ることはできるが、
やや退屈。
姫路城と作品の作り方は同じなのだが、
姫路城が素晴らしすぎたために、
このように感じたのかもしれない。
姫路城だけなら★5つなのだが・・・。