飛行機チケットの値段は、最も「わかりにくい」商品の一つ。
「IATA(国際航空運送協会)が定める正規料金」が価格統制をひいていた時代ですら、同じ会社の同じ便でも全く違う料金のチケットが売られていた。そして、最近は大手航空会社とLCC(ロー・コスト・キャリア)では想像しにくいぐらいの価格差がある。
私は以前から常々「どういう仕組みになっているのだろう」と思っていた。
私は、本書を読んで、(1) 戦後、IATAによる価格決定がなぜ行われてきたか、アメリカと他国の利害はどうだったか、(2) オープン・スカイ化の中で、世界の大手航空会社がいかにダイナミックに再編を果たしてきたか、(3) LCCがなぜあんなに安い価格でサービスを提供できるのか、(4) 日本の国土交通省(旧運輸省)の航空行政がいかに保護主義的で世界の潮流に取り残されたものであったか、を知った。
本書は、何よりも、世界の航空業界のダイナミックな動きに興味がひかれます。そして、日本の役所に共通する「消費者の利益より、業界の秩序を重んじる」、「世界の潮流に遅れ、日本の競争力を削いでいる」といった体質がよくわかる本です。
そして、諸外国の航空会社の再編淘汰のすさまじさを読んで、「
JALを無理に延命させたことは正しかったのか」と疑問を感じました。
エアラインの問題に興味のある人だけでなく、幅広く読まれるべき本と思います。