文明崩壊後の汚染された世界において、二大勢力の衝突を横に、一人の貴族の少女が、さらなる汚染や崩壊を止めようと動きながら、世界の謎に迫っていく。優れた物語進行。異界の構想、戦場の現実、上空での立ち合い等々卓越した描写。
土鬼(ドルク)の聖都シュワの墓所には、どのような秘密が隠されているのか。腐海(ふかい)が生まれた真の理由は何なのか。そして、封印されていた世界の秘密の意味するところを理解した時、ナウシカはどの道を選ぶのか。
生命の存在、生命の慈しみ、光と闇の邂逅など、いくつものテーマがからまり合い、収斂していく物語の面白さ。巨神兵の扱いや、クシャナと父王との因縁の決着など、シリーズ終盤の話の展開には、正直、拍子抜けしたところもありました。でも、この世界を構築した設定の深さには、目をみはるものがありましたね。ナウシカと王蟲との心の交流、クシャナのキャラの転調、そしてある人物の最期など、心に深く響いたそれら話の琴線が忘れられません。
映画は確かに面白かった。しかし、このコミック版は、ほとんど別の物語と言っていいでしょう。腐海を中心にした世界、王蟲の存在感、主要なキャラたちの性格設定の深みという点で、コミック版は映画にはない深みがありましたから。
それと、この【アニメージュ・コミックス・ワイド版】の7巻セットのボックスには、商品案内に記載されている「トルメキア戦役バージョン」の言葉は見当たりません。第3巻ならびに第4巻のカラー口絵に、「トルメキア戦役戦線地図」の言葉はあるけれど。
ボックスの裏に、「NAUSICAA」(最後のAの文字の上部に、マル点ふたつ)、次の行に、「OF THE VALLEY OF WIND」と記されています。
2000年前の核戦争によって、土が汚れてしまった地球。
汚れた大地の上に、かびの一種、腐海が広がって、有毒ガスを吹き出す。
そんな中で、けなげに生きる風の谷の人たち。
とっても飛行機乗りが上手なナウシカ。
彼らに、軍事大国トルメキアの飛行機が襲いくる。
2000年前の、最終兵器「巨神兵」の復活をめざしている。
あえて、トルメキアの捕虜になるナウシカ。
そして、ついに腐海の秘密を解く。
それからのナウシカの、命をかけた戦いがすごい。
蟲と最終的に、交流することができたナウシカ。
彼女こそ、宮崎さんの生んだヒーロー、ヒロインの第一位だ!
(第2位は、個人的に「
未来少年コナン」
第3位は、この物語の「クシャナ」です。