幼い頃ふらっと寄った本屋で暇つぶしに買った、完全表紙買いの本です。 五代ゆうさんのデビュー作「はじまりの骨の物語」が今一好みではなかったので(←完全に個人の好みの話です。私が年齢的に未熟で、北欧のちょっと暗めの文化や雰囲気が受け入れがたかったのもあります。文章もストーリーもレベルが高く、素晴らしいお話だと思います)、買おうかかなり悩んだ記憶があります。 そして一巻目を読んで思ったのが、 「つまらなくはないけど、先が読みたくなるようなお話でもないなぁ」 ただ、中途半端で済ませられるほど読むのが苦痛というわけでもなかったので、二巻目も購入。
……。
読むの止めないで良かった!!!
一巻で散りばめられた伏線が回収されて、怒涛のエンディングへと繋がって行きます。 一巻目では印象が薄く、流されてる感のあった主人公スノウが意志をもって動き回り、感情を露わにし、自己を受け入れていく過程が…涙なしでは語れません。 脇を固めるキャラクターも魅力的。 自由を愛する放浪の青年、イザンバール。 美貌の敵役、ドン・ミケロット。 錬金術師ルルスの最高傑作と謳われた、機械人(マシーナ)ライムンドゥス。 個人的には機械人の少女、オランピアが好き。 ヒロインのヴィーも可愛いだけのマスコットキャラじゃなくて、ちゃんストーリーの訴えたい部分に絡んできています。 感動のあまり、当時、私は泣きました。 平凡で当たり前のエンディングが、素直に良かったねって思える、多分、今まで読んだ中で一、二を争う好きなお話。
実際の東洋や西洋の神秘を下敷きにしながら、完全にオリジナルと言っていいほどにそれらをうまく合わせてアレンジしたよい世界観を作り上げている作品です。迂闊に理論構築ばかりするのではなく、そういった神秘の「雰囲気」を物語にからめて語ることでその実在感もぐっと増しています。 人物の心の流れや物語の展開も破綻がなく引き込む力があり、マイナーではありますが非常にお薦めの作品です。
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