『後宮からの誘拐』や『魔笛』は「歌芝居Singspiel」なので、音楽の付かない地の台詞が多い。しかし『魔笛』の多くの上演では、そうした台詞はかなり省略されるので、上演時間はまちまちである。代表的名演のDVDを比べてみよう。(1)ザバリッシュ指揮、バイエルン国立歌劇場、1983、160分、(2)ゲンネヴァイン指揮、ルードヴィッヒスブルク音楽祭、1992、147分、(3)トロタン指揮、サン・セレ音楽祭、2000、149分、(4)デイヴィス指揮、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、2003、164分、(5)ケネス・ブラナー監督の映画版、2007、139分などである。それに対して、本作の(6)レヴァイン指揮、ポネル演出、ザルツブルク音楽祭、1982年は、何と上演時間は188分。(2)(3)(5)に比べて40〜50分も長い。その理由は、地の台詞を省略せずに、演劇的な部分を丁寧に表現するからである。『魔笛』は言葉遊びも多く、ユーモアに溢れた演劇的表現の細部はとても大切だ。たとえば本作では、パパゲーノを巧みにからかう弁者の台詞、老婆に扮したパパゲーナがパパゲーノに結婚を迫るシーンなど、省略がないのでとても楽しい。夜の女王だって、絶叫アリアだけでなく、第2幕第8場では、長々と自分の秘密を台詞で語るのだ。やはり『魔笛』は台詞省略なしに観たい。本作では、1973年グラインドボーン音楽祭『フィガロ』で素晴らしいスザンナを歌ったコトルバシュがパミーナを歌っている。今は亡きルチア・ポップもスザンナとパミーナの名演があるが、往年の名歌手をDVDで観れるのは本当に嬉しい。本作は、光線を横から投げて陰影をつけるポネル演出の視覚的美しさも格別。
普段見ることのでできない他の航空機とのすれ違いシーンや聞くことができないコクピットでのパイロットたちの行動や会話、管制官との交信をつぶさに見ることできて感動した。いろいろなキャリア・路線でこのシリーズが出てくれたらいいと思う。欲を言えば、BGMのON/OFFを選択できたり、マルチアングルでカメラ(コクピット内or機窓)を切り替えできるとよいと思った。
1歳半の孫へのプレゼントです。 マックイーンの大ファンでとっても喜んで遊んでます。 買って良かったと思います。
ウィーンものの本(特に手に入れやすいという条件をつけると)と言うのは ガイドブックを除くと、音楽に焦点を当てたものか(その中で当時の風俗等に 触れることは有る)、ハプスブルク帝国首都としてのそれ(皇帝や皇妃について 述べたものも含む)のどちらかに大別されます。
と言う訳で、この本はそういった本とは別の方面から攻めています。ウィーン と言う街がどう成立したか、換言するとヨーゼフ1世の城壁取り壊し&再開発で オペラ座等が建設された・・・の先に踏み込んだ一冊です。
第1期:神聖不可侵の皇帝による統治が革命により(鎮圧されたが)揺らぎ 自由主義、民族自決等の萌芽が出てきた。例えば選挙権の拡充、リンク通り 開発の詳細など・・・
第2期:その後はキリスト教(カトリック)を後ろ盾とする政党が市政を担った。 ここら辺からユダヤ人に対する露骨な差別が目につくようになる。また、この 時期はそれまでの何でも民営化を改め、インフラ系を市が整備する形に改めて 行った(ガス、上下水道に市電)。
第3期:さらに第一次大戦の終結を受けて「オーストリア共和国」になった後は 左派が政権を握り労働者目線での政治を行った。教育制度の拡充、労働者向けの 集合住宅など(例えば観光名所化しているカール・マルクス・ホーフはこの頃 作られた)。
・・・と言うように3月革命(1848年)から、ナチスによる独墺併合(1938年) までの90年間についてを3期に分け、各期の政権が何を成したか、当時のウィーン はどんな町だったのか、貴族と新興富裕層と労働者層はそれぞれどう絡んでいた のか・・・といったことを解き明かしてくれます。
旅をして、音楽に触れて、ウィーンと言う街に興味を持ったそんなあなた こそ、手にとって一読して欲しい一冊です。
|