フランス現代思想の作家、そうそうたるメンバーでこの本は構成させています。とかくフランスの思想はわかりづらいのですが、この本にはキーワードがついていて理解しやすいです。エスプリの効いたフランス思想を理解してみて下さい
著者はこの本を「バルトの誘い水となるような入門書」と読んでいるが、この点については私も概ね同感である。ただし、同じく筆者が言うように、本書は決して「わかりやすく解説するという意味での入門書」ではない。フランス思想の基礎知識を持たないものが内容を把握するのは、決して容易ではないように思われる。学部専門課程以後に読むのが適当であろう。
書くという行為は、悲しくもその中に宿命的な主観性を宿してしまうが、とりわけバルトにおいてそれは不可避的である。「固まること」を最も嫌い、生涯スタイルを変化させ続けたこの書き手においては。したがって、ここに提示されているのは、あくまで著者におけるバルトであり、もっと言えば著者そのもののフィギュールにほかならない。それを受け入れるかどうかは、もちろん読者の自由である。
ちなみに、著者は私の直接の師である。尊敬を込めて。
フランス現代思想を形成してきた代表者の様々な文章が集められ、仏和対訳で与えられています。取り上げられているのはベルクソン、サルトル、メルロ・ポンティ、バタイユ、ブランショ、ラカン、アルテュセール、フーコー、デリダ、ロラン・バルトといった人たちです。またテキストの他に、各著者のプロフィール、キーワード、解説も与えられています。フランス現代思想概論ともいうべき本です。本書の次に、この本で興味を持った思想家の原文にあたるのがよいと思います。残念ながら本書だけで各思想家のことがわかった気には絶対なれないので。また、テキストも、各思想家の代表的著作からの抜粋とはなっていません。そういう意味で、ちょっと欲求不満が残る本かもしれません。
第1章ではフランス・ミュージカル史を解り易く解説し、第2章でフランスのオリジナル・ミュージカル作品の解説が述べられる。 来日公演を果たした「十戒」「ロミオ&ジュリエット」、来日が決定している「ノートルダム・ド・パリ」はもとより、今では“ロンドン・ミュージカル”となってしまった「レ・ミゼラブル」の、フランス語から英語版への改編などについても充実した記載が成されている。 “グランド・オペラ”がベースとなってロック・オペラ、そしてスペクタクル・ミュージカルへと発展した様が、簡潔でありながら深い内容の文章でとてもよく理解できる。
日本はミュージカル大国の仲間入りをしたと言われて久しいが、未だに上演の中心は海外作品の翻訳であり、劇団四季や宝塚などでオリジナル・ミュージカルは作られるものの、とても世界に視野を広げて作られたものとは言い難い。 また、海外作品を“そのまま”導入する四季、安い製作費で量産する東宝、宝塚など、そもそも舞台制作に対する土壌が日本と異なることは大きい。 この本から、短期間にこれだけのオリジナル・ミュージカルを制作・上演したフランスは、日本に大きく水を開けたと感じざるを得ない。
巻末の「フランス・ミュージカル一覧」、ミュージカルナンバーの仏語・日本語表記、「レ・ミゼラブル」の1980年フランス・オリジナル版と、改編された1985年ロンドン版の曲目対比表なども、とても便利。
それにしても、「エリザベート読本」といい、渡辺氏の著作の装丁デザインはもう少し何とかならないものだろうか・・・。
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