プーランクの曲はメロディーがはっきり捉えやすく弾いていて気持ちいいです。でも、いざ注文した楽譜を見て弾こうとしたら、指番号が書かれてなかったので戸惑いました。もちろん指番号が書かれている楽譜であっても自分の弾きやすい指に換えて弾くことはあるのですが最初から何もないのは少し不親切かもしれないです。自分の指番号を探すことが勉強といえばそれはそうなのですが参考にすべき指番号が書かれているほうがより気軽に弾きやすいと思いました。#7が弾きたくて買ったのですがいつもより譜読みに時間がかかりました。でも弾けるようになって今は満足です。他の曲もレパートリーに加えたいので、しばらくプーランクを弾いていきたいです。
彼自身の資質なのか、指導によるものかはわかりませんが、ダイナミック・レンジとか、技巧的な表現は抑制されているように感じます。音色も、素直で柔らかいタッチで弾いています。強靭な打鍵とか硬質な音色はありません。12歳という年齢では手の関節も十分に出来上がっていないはずなので、それは好ましいことだと思います。 選曲もシューベルトの即興曲が2曲入っていたり、穏やかで素直な曲想のものを中心に選ばれているようです。何だか、ピアノの演奏ということを忘れて、音楽そのものを聴いている気がしてきます。 その音楽が少しも子供っぽくなく、静かな、聴き手の心を解きほぐすようなものであることに本当に感心しました。 彼はこれから体の成長期を迎えるはずで、体の変化に苦労することもあると思います。どうか、今後も良い指導者に恵まれて演奏者として成長することを願わずにいられません。
「遥かなる時をこえて」を聴き、素晴らしい音楽だなと思い、今回CDを買うに至りました。改めて聴いてみて、やはり、素晴らしい音楽だと感じました。繊細かつ、『叙情的』とでも言うのでしょうか。そして、とても爽やかな気持ちにさせてくれるメロディーです。
マンガ風イラストも多く気楽に楽しく読めて、しかも真面目で充実した内容だと思います。ショパンの特技がマンガやものまねでそれがちょっと意地悪(観察が鋭いという意味でしょう)とか、他人からやたら愛され親切にされるとか、ショパンの本質を十分理解して書いてあると思いました。又全曲のリストアップも見易いし、お薦めCDもたくさん詳しく載っています。浅井慎平さんのインタビューもとてもよかったです。ショパンに詳しい人にも詳しくない人にもどちらの方にもお薦めします。
ベートーヴェンにおいて荒い息づかいが聞こえるが、それは残念ながら、不要なノイズだ。それが聞こえなければ、大人の演奏に聞こえただろう。そして、ベートーヴェンのみならず、シューマンでもその息づかいが聞こえてしまうのは、力が入り過ぎで余裕のない演奏をしていることを感じさせる。それでも、シューマンの「トロイメライ」は、かなりうまいと思う。ベートーヴェンにおける二つの第2楽章は、それらがいずれも複数声部で書かれた楽章であり、それがベートーヴェンのピアノ・ソナタの特徴であるわけだが、そのことを表すのは、壮年ピアニストのみならずベテラン・ピアニストにも難しいことなのに、小林愛実はその点をクリアしている。
ヒューイットやルイ・ロルティが、ファツィオリでベートーヴェンを弾いてるのに対し、小林はスタインウェイを弾いている。小林が、スタインウェイの音を、ほぼ完全にコントロールできているのは、驚嘆に値する。小林が弾くスタインウェイによるベートーヴェンの音色は、ヒューイットやルイ・ロルティが弾くファツィオリによるベートーヴェンの音色より、アラウやポリーニが弾くスタインウェイによるベートーヴェンの音色に近い。よって小林の音は、アラウやポリーニなどスタインウェイによるベートーヴェンを聴いた者には、馴染みがある音色、懐かしい音色であり、それゆえに、小林の解釈は聴き取りやすい。
この CD のトータル・タイムは、58 分 58 秒。繰り返して聴いても疲れない。密度の濃い演奏なので、同じ箇所を繰り返し聴きたくなる。そういうピアニストは、昨今、あまりいない。そして、小林は、15 才にして既に自分のスタイルを獲得しているようだ。2010 年 12 月録音。
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