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文学小説としてはどうか分からないがサスペンス小説等といった観点で見れば、正直ちょっと残念だった。
ストーリーは他の方々のレビューを参考にして頂くとして、前作「掏摸(スリ)」の兄弟作として書かれた作品であり、それが非常に良かったのでかなり期待した。
しかし、まず絶対悪「木崎」の凄さが突き抜けていて、始める前から「勝てる気がしない勝負」を見ているのが、逆に緊張感を削いでしまった。
また、前作は1つの大きな流れの中で、他の犯罪者との人間関係なども味わえたのだが、今回は主人公vs木崎の軸が太いので、あまり周辺の話がなく、
話がやや一本調子な気がした。
しかし、やはり絶対悪の口ぶりは非常に興味深く、ある意味痛快で、読み手の心を掴む要素があると思う。
確かに好き嫌いは分かれると思うので、 掏摸(スリ)が駄目な人は見送るべきだし、読んだことがなければこの世界に一度は触れて欲しいと思います。
続編が非常に読みたいです。
すごく面白くて1日で読み終えました♪ 本好きにはもってこいの一冊です。
新聞広告で紹介されていた何編かの句(?)を読んで、
興味が湧いたのでこの本を購入しました。
ズバリ買ってよかったです。
こういう世界は何と言ってよいのか言葉にするのは難しいですが、
自分の頭の隅っこにあった、たぶん一生表に出ないであろう記憶を引き出してくれるような
なんとも言えない快感が味わえました。
一句一句に描かれる情景が自分の過去の記憶と合体したとき、
その人の顔や背景までがくっきり浮かんできて、
その時自分の中に封印したタブーな気持ちが一瞬でよみがえります。
小学6年の娘にも大うけで、気に入った句に付箋をつけていました。
子どもだからこそ通じるピュアな感性に満ち溢れているともいえます。
思い出し笑いが止まずに困ったという経験が誰にでもあると思いますが、
私は昨日、そのような状態に陥り、なかなか眠りにつけませんでした。
シュールな笑いこそ自分だけのものにしたい。
そう考える人にはおすすめです。
刑務官の僕が犯罪者と自分の内部とを行き来しながら見ているもの。 連続婦女暴行事件の犯人である佐久間が言う言葉 「倫理や道徳から遠く離れれば、この世界は、まったく違ったものとして、人間の前に現れるんです。まるで、何かのサービスのように」(102頁) 倫理や道徳から遠く離れてしまっている犯罪者と、主人公である僕との境界線が、他でもない僕の過去にある。 狂っているとしか思えない犯罪者と、狂っていたとしか思えない過去の僕。 人間が決められる領域じゃない死刑と執行する刑務官が抱える心の闇。 雨の中で閉じ込められた室内のように、湿度を感じる小説だった。
ゆがんだ若者像を見事に描いた作品。
本当の自分とは違う全く違う人間を演じ、それを死んだ恋人の指を持ち歩く主人公の不気味さ、そして執着が最近おこる猟奇事件の犯人像を見ているようでぞっとした。
恋人を愛しているより、恋人を愛している自分に酔い、他人を殴る自分に憧れ、それでいて孤独を何よりも怖がり、たとえ嫌な人間でも一緒にいることを望む。
そんな姿がゆがんだ現代社会を象徴しているような作品だった。
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