司馬遼太郎の歴史小説を読んだり大河ドラマを見ても、高杉晋作という人物がどうしてすごいのかは、なかなか理解ができなかった。この本は15年ほど前に一度読んでいたが、どうも高杉晋作とは何者なのかがしっくりしないので、もう一度読み返してみた。確かに長州藩を復活させて、薩長同盟が政治的に意味のあるものにした力としては、高杉晋作の統率力、行動力、一途さは必要だったと確認できた。奇兵隊が階級社会を否定する民衆の軍隊で、それが数で勝る幕府軍を負かした史実は喝采すべきものがある。それでも長州藩に閉じた高杉晋作の生き様は、現代の視点で読むと、物足りなさを感じる。この本は、高杉晋作を描く以上、そのような限界があるのは仕方ないが、著者が高杉晋作を他の志士たちよりも英雄のように描こうとすればするほど、違和感も感じてしまうのである。
放映前の年末、渋谷駅のホームに貼ってあったポスターを見て思わず写メ‥大好きな村上さんが、剣豪・荒木又右衛門を演じる!という事で、久しぶりに意気込んで観たお正月時代劇でした。 実在人物が登場する時代劇は配役が成否のひとつの要だと思うのですが、村上さんの荒木又右衛門は本当にハマり役で、今度はPHP文庫から出ている黒部亨原作の荒木又右衛門も演じてくれたら‥と思うほど。 様々な徳川家系の役を演じてきて貫禄の西田敏行さんも良かったし、槍の名手・桜井半兵衛役が榎木孝明さんなのも良かったです。 話も長時間の中で飽きさせず纏めてあったので、なかなか楽しく見終わる事が出来ました。 残念だったのは中村獅童さんの柳生十兵衛役‥十兵衛役は前年村上さんが金曜時代劇で演じていて、すごくかっこよかったので、どうしても比べてしまって獅童さんでは物足りなさを感じてしまいます。でも、今の芸能界に剣豪を村上さん以上にかっこよく演じられる役者さんがいないから仕方がないのでしょうね‥。 ということで、村上さんファンにはぜひおすすめの時代劇です。
若くして才能を開花させながら、明治維新を見ることなく死んで いった英雄。そしてその名も、坂本竜馬などとは比較にならない程 知られていない。 しかし、その功績はとてつもなく大きい人物。一度読んでこの人物 のファンになった。 吉田松陰の高杉晋作の評価が素晴らしい 君の詩の才能は久坂に及ばない。理由は、君の詩には”志”がない。 久坂には強い”志”がある。君は、素晴らしい才能を持ちながら、 ”志”を持たないために力を発揮出来ない。 ”志”とは、人間に磨きをかけ、成長を加速させる。 ”志”を持たないために力が発揮出来ていない。 現代の日本人には、このタイプがとても多いのではないだろうか。
家康の生涯を描いた作品は極めて少ないが、本作品は簡潔にまとめてある。やはり山岡荘八作品には及ばない。確かに家康の人生は遁げに終始していた。それが長い時間をかけた天下取りに結びついているといえる。家康のつぶやきが現代風の口調になっているところが多少気にかかるがやむを得ない。歴史小説268作品目の感想。2010/07/10
きっちりした構成に基づいて書かれた、こういう老師の良書を読むと、「本を読むことが、どんなにか至福のときをつくってくれるのか」が、体感でき、ただただ脱帽である。 「作家って、どんなところからこんな発想がわくのかなぁ」、「こうだからこそ、作家なのかなぁ」と、ホトホト感心してしまう。 当然史料や、古来からのネタ本の類はあるものの、それを基にしながらも、こういう風に書き上げられることたるやが、作家なのだと思う。 上下そろえても、この料金で、これだけ当時にワープでき、ワクワクしながら次のページをくくり、心から楽しめるのが、『読書がもつ効力・効能』なのだろう。 文庫の割りに活字が大きい角川文庫の配慮も、大変にうれしい。 信長の出は当然ながら、好敵手同士の秀吉と光秀を軸に、仕掛け人・将軍義昭、その血縁たる細川藤孝をからめて、『ときは今…』である。
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