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シー・シェパードの正体 (扶桑社新書)

ブログでシーシェパードの動向を逐一報告していた著者が、エントリーの内容を整理編集した感じ。ブログでは断片的だった情報がきれいに整理されていて、類書のほとんどないシーシェパードの全体像がきれいに見通せる。本書を読んで、シーシェパードを知る上で重要な３点に気づかされた。一つはシーシェパードは決して人種差別的に日本人を追い回しているのではないということ。二つ目は、シーシェパードは環境保護運動の過激化の潮流に乗ったものであること。３つ目は、一連の妨害活動がやらせを含んだリアリティ番組（電波少年的な番組）の収録であるということだ。

日本襲撃以前のシーシェパードは、北欧の捕鯨などを妨害していたが、日本の南氷洋捕鯨への世界の反応が良く、アニマルプラネットのリアリティ番組も好評だったことから、南氷洋捕鯨妨害に力を入れ始める。「ワトソンが狙撃された」とか「メンバーが誘拐された（実際は強行乗船）」などの大嘘を世界中にアピールし、テレビでも生々しく放送することで真実と思わされてしまう。テレビで一方的に撮られてたら「捕鯨をする悪の国家に立ち向かう環境十字軍」みたいに見えちゃうわなあ…妨害船の見張り船を出して本船が捕まらないようにする日本側に対し、シーシェパードは船籍偽装するいう毎度の禁じ手破り……と双方が秘策を次々繰り出し、世界中にアピール合戦する第一章は小説を読むような面白さもある。

本書から、シーシェパードがワトソンという教祖を奉じるカルトだということが理解できる。ただ、日本人だけで熱くならず、著者が言うようにエコテロリズムの潮流が世界的になりつつある状況を認識すべきだ。逮捕されるか線引きの際どい所で妨害活動をするシーシェパードから、銃器や爆弾の使用も辞さない過激なエコテロ分派が現れる可能性を、著者は指摘している。世界中で協力して取り締まる必要性を感じた。

上田ちゃんネル Vol.1 [DVD]

テレ朝チャンネルで放送中の「上田ちゃんネル」の商品化。ＢＳデジタルのパラボラあげている人、ｅ２に加入している人はこれを見終わった後に、テレ朝チャンネルの加入をすすめる。コアなファンならば、２０１０年４月に２度目となる「２４時間生放送」を敢行したことは記憶に新しいだろう。すべてのレギュラー編成を休止して放送したテレ朝チャンネルのふところの大きさを感じる以上に、「上田ちゃんネル」がテレ朝チャンネルの「看板コンテンツ」へのし上がったことを実感した瞬間だった。

「上田ちゃんネル」は居酒屋トークがメインだが、その内容は地上波が放送できる「枠」を超えている。むしろ、いかに地上波、しかも関東ローカルで深夜放送だったとしても「コアなお笑い」がやりにくくなっているかの証拠でもあるが、ボキャブラ世代には懐かしい（？）古坂大魔王とのトークは下ネタ満載ではないもの、地上波ではクライアントがつかないという理由で、絶対オンエアはできないだろう。上田晋也＝地上波ではさりげないウンチクを披露する知性派芸人＝それが世をしのぶ仮の姿であることは、このＤＶＤを見れば一目瞭然だ。

地上波だけを追っている状態では、この番組に登場する浜ロンや桐畑トールって「誰こいつ？」状態だろうし、古坂大魔王に至っては「ああ、底抜けＡＩＲ−ＬＩＮＥがピンになったのね」の印象しかない。古坂さんはmihimaruGTと組んでアーティストもやっているから、「昔お笑いやってたんだ」という本人にすれば屈辱的な答えが出てきそうだ。

とにかく「上田ちゃんネル」は面白いのだ。イタい奴によるコメントのような表現しかできないが、そういうコメントしかできないのが悲しい。