この本を私は一週間とかかわずに読み終わりました。長いといわれている物語ですが、たしかに背景としての描写などには必ずしも必要ではないような部分もありました。しかし、それでも、物語としてのテンポ(展開)はそれとは裏腹に飽きが来るものではない。それこそ、物語の登場人物としての、いわば物語の中の物語の聴き手である書家や奴隷のように、私はこの本に耽溺することになりました。ファンタジーを読んだことのない人は、読み始めはなにやら疑心を憶えるだろう。しかし、これをファンタジーそれ自体として認識してよんだなら、すぐに魅了されるでしょう。困難な描写を上手く創造をしながら読むのはなかなか大変だが、全ての流れを掴むことの面白さ、何がどう繋がるのか、さながら歴史としてのミステリーとファンタジーの絡み合いは絶妙です。 さらにいえば、世界史に対してのいくらかの知識があればなお面白く読めるであろう。
よかったです。短編オムニバス形式の小説は割と好きで読みますが、その中でもこれはあまり癖がなく、読みやすい作品かと思います。編集が上手いのでしょう。
西村賢太さんや大崎善生さん、筒井康隆さんの短編を目当てにしていたのですが、どの作品も面白く、高橋三千綱さんの『パリの君へ』の溢れる詩的センス、嶽本野ばらさんの『pearl parable』の女性の陰部を真珠貝に見立てるという発想、平野啓一郎さんの『義足』の一貫して淡々とした物語と、その圧倒的な描写力などなど、唸りました。
講談社から全6巻で出た時に夢中になって読みました。まるで宮本がすぐ近くで生きている人間みたいに、愛おしくて手に負えなくてハラハラドキドキしながら読みましたよ。
今回の「定本」に入っているかどうか分からないけど、最後の新井英樹による書き殴りの後書きは余計に宮本に血肉を与えていて、この話が終わった後の宮本はどうしているだろう?靖子と子供と3人の生活は色んな波乱がありながらもなお続いているだろうかと、今でも時々気になるくらいです。
カッコ悪くても自分をとことん信じて自分をとことん愛して生きていく。そういう宮本の生き方は出来そうでなかなか自分には出来そうもありませんが、それでも自分はこの漫画のガムシャラさに人生のある局面でちょっとだけ救われながら、今日も生きています。この空のどこか(作中に出てくる飛鳥山公園の空は展望台がなくなって今やすっかり景色が変わってしまいましたが)で宮本が靖子と思春期を迎えた息子と一緒に今も全力疾走していることを祈っています。
初めて古川日出男の本を読みましたがとても面白かったです。
本書は歴史と物語の織り込み方がとてもよいと思います。 また読みながら情景が目に浮かぶように感じた本でした。
近現代史が好きな方にはお勧めです。
Switch,25年を記念した一冊. 主に,井上雄彦先生の,最後のマンガ展,仙台最終重版を特集. 最終となる仙台会場を歩いての,井上先生の感想が読めます. そして,最後のマンガ展,上野,熊本,大阪,仙台,それぞれの展示ポスターを収録. 仙台版の展示ポスターは,折りたたみ形式になっており,横長で,海を背景にした,少年の武蔵の迫力が圧巻な作品!! 最後のマンガ展と平行し,仙台で開催された,バガボンドのアシスタント体験が出来る,ワークショップの記録も掲載. 小中学生が描いた,十人十色のバガボンドの完成原稿が,感想文と共に見れます. 更に,仙台会場入口に井上先生が描いた,巨大壁画のメイキング映像を,本誌連動として,完全無料で“Switch App(スイッチアプリ)"にて公開!! 巨大壁画の制作過程を追った“THE MAKING OF 井上雄彦 最後のマンガ展 最終重版"が,iPhoneとiPadで観れます. バガボンドファンは,是非,鑑賞してみて下さい!! 仙台最終重版に行った方も,行けなかった方も,この一冊は必見です!!
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