過去の名作を独自にアレンジし、新たな作品として作り直す創作活動は、音楽や絵画の世界ではよく行われている。そうしたカヴァー作品は、オリジナルを踏襲しつつも斬新な改変を試みることによって原作の魅力をより豊かなものにしていく。
その意味では本書は、源氏物語に材をとった当代のカヴァー集といえる内容で、『源氏物語 九つの変奏』というタイトルはぴったりだと思います。
現代の九人の作家たちが、大先輩にあたる紫式部の「源氏物語」の各章を訳していくのですが、原作との「距離感」は作家によってまちまちで、内容を忠実に追った現代語訳もあれば、設定に手を加えた翻案作品もあり、中には、金原ひとみさんの「葵」のように、登場人物のほかは大胆に改作したものもある。アプローチの仕方は違えど、作家たちはおのおののスタイルを打ち出しながら、人物たちの心の機微を描き出していく。
いずれの作品にも原作への敬意が感じられるし、それぞれちがった趣が楽しめ、アンソロジーならではの読みごたえがあります。また、各作品の冒頭に〈原典のあらすじ〉が短く載っているので、「源氏物語」を読んだことがない人(私もその一人)も、作品の中に入っていきやすくなっています。
オビには〈人気作家九人が織り成すまったく新しい「源氏物語」〉とありましたが、本書をきっかけに原作へいざなわれていく人もいるでしょうし、原作を知ったうえで本書を読む楽しさもあると思います
「帚木」松浦理英子/「夕顔」江國香織/「若紫」角田光代/「末摘花」町田康/「葵」金原ひとみ/「須磨」島田雅彦/「蛍」日和聡子/「柏木」桐野夏生/「浮舟」小池昌代
撮影・カット割は下手、カラコレ(色調調整)も下手、
あと台詞が役者の口に馴染んでない(つまり監督が役者に演技をつけれてない)。
ほんとに素人がつくったんじゃないの?と思うぐらい技術的にはダメダメですが、
監督・井上さんのセンスがいいのか(ただし演出能力は無い)、不思議な魅力のある、すごく心に残る作品でした。
あと岩田さゆりもすごく魅力的でした。
小説作法としてあるので、途中で課題も出てくる。いわゆる演習問題である。しかし最低限でまとめてきたという感じが終始漂っている。ので、何となく物足りない。
上手に作ってあるのは間違いない。しかしながら・・・エッ、これかよ!というインパクト・パンチがほしい。ちょっと残念である。
最近の小説は内向的でスケールの小さいものばかりと思っていましたが、
これはスケールが大きく読み応えがありました。
日本で古代からどのように人々が生き抜いてきたかを
現代の暗雲とした世の中で生き抜く精神に繋ごうとしているようです。
一部は現代の貧しい人々の生活を旅し、二部では歴史を駆け抜け、
人間が逞しく生きる中の悲哀がテンポよく描かれています。
作者のユーモアと幅広い知識に裏打ちされた、日本人の根源を
呼び覚ませてくれるような世界や時代を俯瞰した素晴らしい作品だと思いました。
帯の著者の写真を見て「ふけたな」と思いましたが、未だに格好の良さは感じられます。 で、本文。最初に結婚を勧める理由が7つあって解説していましたが、目新しさはなく、「それだけかよ」と思いながら読み進みました。が、様々なアドバイスを重ねていくと、とてつもない非常識人間が結婚することになります。 で、やがて気がついたのは、本書は著者の行動や生活を肯定するエッセイであるということです。真面目な啓蒙書ではないと思って読み始めると、本来の皮肉屋の視点がとても面白く感じられるようになりました。ラストの女芸人との噛み合ない対談などは、そうとうきついブラックジョークのように思えてきます。 あとがきに記載された著者の門限とその顛末を読んで、上記の思いをさらに強く感じました。
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