中学受験にでそうな名作探しで、水上勉氏の「ブンナよ、木からおりてこい」をチェックしました。これを入試に素材文で出すかと言われたら、多分出さないと思います。表現がやや冗長で、同じテーマが繰り返しでてきます。設問が作りにくい文章です。もしかしたら、環境問題つながりで食物連鎖という言葉を引き出すために使うかもしれません。その場合には理科で出題される可能性がありますね。
でも、とてもいい作品です。1987年にビデオになっているようです。いいこと、悪いこと、弱者への思いやり、食べることへの謙虚さ、そういうことを教えたいのなら、この本を音読してあげるといいと思います。アニメブックもあるのですが、これもビデオも入手難です。残念ですが。
文体は語りに向いています。音読してあげるなら小学校低学年から。自分で読むなら中学年からかなと思いました。
水上勉が、自らが幼い時に寺で僧となるべく育てられた経験を元に、破天荒な生涯を送った一休の生涯を記した書。 小説というよりは、『狂雲集』などの一休の書、あるいは各種の一休伝や評伝をひもときながら、特に自分の解釈も披露し、全体として評伝のような内容になっている。 これといった盛り上がりもなく、淡々と、一休のおよそ80年の生涯を、そうした記録によって、静かになぞっていく。 水上が特にこだわっているのは、一休の『女犯』いわゆる性生活についてだ。 一休の伝記を書いた多くの専門家は、その多くを一休の狂言、嘘をついていると考える人が多いようだが、水上は、ほとんどが真実であるとしている。 むしろ、その女犯こそが、一休の人生の大きな側面であると考えているようだ。 それよりも、果たして、これが小説だろうか? とも読んでいながら思ったが、読み終わって見るとむしろ、小説という文学形態の自由さを感じさせられた。
ドラマでは、兄弟それぞれが抱えた闇が順番に描かれていて面白かったのですが、メイキングは圧倒的に、山Pと前田さんのカットが多かったです。 山Pは主演なので当たり前ですが、前田さんもW主演のような扱いだったので違和感がありました。無駄に推されているな、と(笑) 他の兄弟のカットもメイキングにもっと入れて欲しかったです。
3回読みました。 主人公玉枝が喜助に対して注ぐ哀しいまでにひたむきな愛情〔恋情〕に本来の日本女性の姿を見た思いがしました。また、最後は哀れな結末で終わるのですが、その玉枝に「頑張れよ、負けるなよ」という作者の声が作品全体に響いているような気がします。
戦争は植民地満洲から始まった。傀儡国家として葬り去るのも自由である。ただリアリティーのある文学作品として後世に遺すことは必要なこと思われる。ここに明治生まれの里見惇、徳永直、大正生まれの清岡卓行、宮尾登美子、昭和生まれの三木卓、村上春樹ほか、満洲体験のある著名な作家たちの満洲を描いた短編が収載されていて、読み応えがある。700頁に及ぶ本書は、じっくりと読むに堪える力作集である。(個人的に言えば、私の父は満洲開拓団長として彼の地に客死しているので、本書を哀憐深く読み込んでいる)
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