この本では、高校時代の著者と赤塚不二夫との初めての出会いから、共に漫画家をめざした修行時代、人気爆発した赤塚のブレーンとしての多忙な年月を経て、2人の別れまでが描かれる。遠景に手塚治虫を、その手前にトキワ荘に集った若者たちを主とする漫画家たちを配して展開する、著者と赤塚と漫画との錯綜した愛の物語は、読ませる。 タイトル通り、主要登場人物はほとんど男で、漫画家というのは男女とも、それぞれホモ・ソーシャルな世界を作り上げてるんだなァ、と思った。ただ、それでは水野英子の立場はどうなるのかと、少々気にかかったが。 名声を得て交友関係を広げ、酒量も増え、タレント的な活動の比率を膨れ上がらせていく赤塚。昔からのスタッフが次々と去っていく中で、著者は赤塚の傍らに留まり続ける。しかし「手塚治虫の死、そして赤塚との訣別」と題された終章、その最後の最後で、別れは唐突にやってくる。漫画を愛し、漫画の堕落を呪詛しながら酒びたりの日々を送った恩人・寺田ヒロオの死。その死に触れながら、自分の酒への依存を力なく語り、ヨロヨロと製氷機に歩み寄ってまたチューハイを作りにかかる赤塚を目にして、著者はそのままスタジオから立ち去るのだ。この唐突であっけない別れは、痛切。 ところどころ、著者の言葉遣いの誤りは気になった。「同士」を一貫して「同志」と記したり、「そんな藤本の杞憂は見事に当たってしまったのである」(p152)のような雑な日本語は、著者の文章に微妙な底上げ感・水増し感を漂わせている。そこがもう一つ、この本を額面どおりに受け取れない理由でもある。 最後に、個人的には「この昭和四十六年は、藤子不二雄の『毛沢東』連載で始まった年だったが」(p195)という一節が強く印象に残った。インパクトあったんだろうな、少なくとも業界では。この藤子作品は「劇画 毛沢東伝」として現在復刊されている。
このCDは、井上陽水のサードアルバムで
す。シングル「夢の中へ」をリリースし、大
ヒットを受けてのアルバム。当時では珍しい
ロンドンレコーディングが行われた作品です。
この作品は日本レコード史上空前の大ヒット
となり1973年12月17日付でオリコン
1位を獲得してからというものの113週間、
2年3ヶ月もの間オリコントップ10内にラ
ンクインし続け、135万枚以上の(当時)
売り上げた作品です。
『氷の世界』は、「氷の世界」、「心もよ
う」、「帰れない二人」などが収録されてい
ます。
ちょっと期待しすぎで聴いたので、一回目は「なぁ〜んだ、ソレ程でもないや」という感じでした。
しかし繰り返し聴くと、何とも言えず可笑しくて、昔の深夜ラジオの持つ「音で想像させてくれる楽しさ」
みたいな魅力を味わえます。
もともとタモリさんの芸風が好きなんですが、赤塚さんの可愛らしいキャラクターも見逃せません。
今風の笑いとは違い、大爆笑を期待するとかなり肩すかしをくらいますが、
ドサッとしながらインテリジェンスが漂う、「おやじギャグ」とは一線を画す笑いが味わえます。
「声」の持つ魅力も感じました。
中身は、あ〜始まる名鑑、人名辞典です。
だいたい一人半ページ位の分量ですが、手塚治虫氏や赤塚不二夫氏など超大物は、2〜3ページの分量になっています。
漫画家になるまでの経歴、デビュー作、代表作、作風などが簡潔に付されていて、ついつい読み続けてしまいました。
有名な作品でも読んでいないのが結構あるな、と思いました。
次に読む本を見つけるには良いかもしれません。
この本を読んでいて気づいたのですが、漫画家になるひとは、非常に早熟ですね。
中学生か高校生では殆どの人が、投稿などをしていますし、その頃既に漫画家を志しています。
日本の様々な文化サークルで漫画界は最も活況を呈している分野ではないでしょうか。
中学生や高校生の圧倒的な支持こそが、活力の源であることを感じますした。
■長谷(ながたに)氏は元トキワ荘関係者で、書評子が深く尊敬するマンガ家。現在はマンガ学を大学等で講義しておられる。
■本書は『ガロ』の長井勝一、『漫画少年』の加藤謙一、トキワ荘漫画家を育てた丸山昭、『少年マガジン』の内田勝・宮原照夫など今日のマンガブームの礎を築いた伝説的名編集者について書かれた実名小説集である。長谷氏ならではの視点で、マンガ界の熱い青春が描かれている。
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