シリアスな展開の中にもに明るさのある映画です。主題歌と後半の冒頭の二葉さんの歌が有名ですが、内容は「恋愛」についての封建制打破というようなテーマが中心。 そのドラマの進行過程で「家のため」「国家のため」という言い訳で枠にはめようとする、という戦争の反省も組み込まれていて、「もっと自由人たれ」そしてそれは「甘えちゃいけない、自分の力、価値判断で生きるのだ」という大きな、かつ根源的な主張をも表現するのです。まさに「艱難汝を玉にする」という恋愛ドラマですよ。 そして登場人物の中に流れるヒューマニズム、そのことがラストの海岸の丘の上での2組の愛の「告白」に結実するとき、そのドラマの美しさが輝きます。 追記:竹の子先生にバラを持ってお見舞いに行くときの原節子さんのちょっとはにかんだようなしぐさ、顔のかわいらしさは特記すべきものです。あと音声は古い映画の割にしっかりと録音されております。聞き難い事はございません。映像もきれいです。
同名映画のDVDを見て、原作を読みたくなり購入。 さすがに現代とは違いますが、おもしろく読みました。
学園青春映画の原典と云うべきこの作品。 石坂洋次郎の原作は終戦直後の新聞小説と云うこともあり、いかにも大時代的な理想主義ではあるのだが、その明朗な青春群像の魅力は世代を越えて受け入れられ、また数回リメイクされたこともそれを証明している。 特に吉永小百合を主演に据えた日活版は、脚本も大幅に手直しし、現代的に若返ったと話題になって大ヒットしたのだが、やはり最高傑作は原作に忠実な今井正監督版。 封建的な旧制女学校を舞台に繰り広げられる若き叫び、美しき師妹関係、効果的に流れる挿入歌の「恋のアマリリス」・・・、50年以上の時を経て夢のような物語の新鮮さは失われたかもしれないが、昭和24年公開の『青い山脈』はクラシックとも云うべきてりさえみせる。 なにより魅力的なのは出演者。 島崎先生を演じる原節子は気品さえ感じさせ、池部良はまだまだ新鮮、健康的な杉葉子は新時代の女性像に相応しく、小暮実千代は珍しくコミカルで魅力的。竜崎一郎の演技は達者とはいえないが、原節子とのコンビは絶妙で、今井正のキャスティングの的確さを示している。この作品でもっとも輝いているのは眼鏡をかけた若山セツコ。彼女の演技力は特筆すべきもので、『青い山脈』の成功は少なからず若山セツコにあると思う。 未見の方には時間を経たものだけがもつ”新鮮”な感激が味わえるでしょうし、再度御覧になる方には今一度、若山セツコさんの可憐な姿に注目していただきたいと存じます。
同名映画のDVDを見て、原作を読みたくなり購入。 さすがに現代とは違いますが、おもしろく読みました。
石原裕次郎は、義母役が話すところの「時間を掛けて良さがわかる男」を演じています。いつもと同じですね。本人を意識して映画は作られたのですから、かっこいいのは当然です。 でも、この映画の本当に素晴らしい点は、北原三枝と芦川いづみの存在にもあると思います。 時折見せる彼女達の顔のアップは、意識的に、ほんの一瞬だけ静止画のように留(と)まったりするのですが、それが観る者をグッと惹き付けていくのです。 このようなイメージを持つ女優が現在、全く存在しない事が残念でなりません。 シナリオの人物設定が完璧で、登場人物が無理な展開をせず自然に変化していくところが、長時間疲れずに観る事ができる一つの要因だと思います。 コミカルな演技は笑えるシーンが多く、特に「ジミー小池」の歌は必見です。 リアルタイムで観た女性方に当時の感想を伺いたいです。 10月は東京の映画館で、芦川いづみフェアが開催されます。 とても楽しみです。
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