道警シリーズの第4弾。
一応、「笑う警官(うたう警官)」に始まる道警組織対主人公達という流れは前作『警官の紋章」でひとまず完結ということだそうで、
今作からは登場人物を発展させていく新シリーズということだそうです。
中身はスピンオフ的なライトさでミステリも一応、事件が絡み合ったりと、
なくはないのですが前半を読めば結末はわかってしまう軽いものです。
そもそもそこに重点はおかれていない様子。
当方、佐々木氏の作品はだいたい読んでいるのですが、
基本的に氏はあまりキャラクター描写が際立つといった作家ではなく、
むしろ作品全体の醸し出す雰囲気が魅力だと思うので今作のような内容は
あまり向いていないのでは?と個人的には思います。
「制服捜査」シリーズなんかの方が作家のよさが巧くでているかと。
シリーズを読まれている方は天気の悪い週末なんかに読破するにはよいのかもしれません。
作者にはそろそろ「警官の血」の様なヘヴィな大作を期待してしまいます。
英雄は何かを変える。英雄は何かを壊す。著者はプロモーションビデオにおいて語ります。優位性を喧伝するために使われる言葉としての英雄。その対義に当たるのは大衆です。大衆に向けて英雄を表現するという行為はどのようなカタストロフィを生み出すのでしょうか。「100%エンターテインメント」としている本書においてはより一層その意義を吟味したくなります。作品の生み出すカタストロフィに対して、妥当な期待を抱き、没頭して読書できることを望みます。
北日本では毎年春のお彼岸の頃、冬の終わりを告げる嵐が襲う。今年、志茂別を襲った彼岸荒れは十年に一度と言われる程の大暴風雪になった。午後から荒れだし「今年は例年になく荒れるぞ」と予感していた駐在所の川久保巡査の所に1本の電話が。「溶け始めた雪の下から人らしきものが見える」との通報だった。吹雪の中確認に向かうと・・・。発見された遺体に繋がる暴力団組長宅現金強奪殺人事件の犯人、胃がんの疑いを持った定年間近の男が先が短いのなら太く短く生きようと事務所にある二千万を持ち逃げし、夫に隠して不倫の清算をしようとする主婦、母の入院中に義父と居られず家を出た少女と雪の中トラックに乗せた青年、旅行中の老夫婦等が猛吹雪の中ペンショングリーンルーフに避難して来る。と、テレビのニュースに客の一人の顔が映し出され愕然する。暖房機の壊れたレストランは寒さとそれにまさる恐怖で充たされた。一夜が明けた時、嵐と共に恐怖も去る・・・?
面白かった。上下巻を一気に読み切った。
戦後の混乱期から現代まで、三世代にわたる警官の人生を描いている。戦前の警察から変わったもの、変わらなかったもの。労働争議、学生運動、バブルの時代。警官三代の眼から見たその時々が、特異な形で描かれている。
事件の謎が受け継がれ、深まり、更に新たな事件が起こる。五十年以上もの時間が流れ、終末部に至って、物語の座標軸が幾度も回転する。そのたびに、新たな構図の下に事件が再配置されていく。題材から受ける印象とは違い、極めて考え抜かれた知的な作品である。ミステリーの醍醐味が味わえる。
更なる望みを言えば、登場人物の葛藤が、もう少しでも良いから描かれていれば、と思う。
直木賞受賞で著者を知り,本作を手に取った.
サスペンス小説なのかと思い読み始めたが,短編の事件がつらつらと並び,
何のドラマチックな山もなくそのまま終了.
正直拍子抜けしてしまった.直木賞って.....
というのが正直な感想,
直木賞の作品は多々読んできたが,その中でも低いランクと評価する.
期待しすぎた私が悪いのか...
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