ねこぢるの夫である山野一氏の協力を得ていて、 ねこぢるy(山野一)の書き下ろし作品が掲載されているほか、 作品からの図版などの引用が多数あること、 丁寧にエピソードなどを拾っていることには好感が持てるのだが、 分析が稚拙で浅すぎる。これを読んでも新たな発見があったり、 ねこぢるの作品への理解が深まることは無かった。 ねこぢるに関するものなら何にでも興味があるという人向けだと思う。
『ねこぢる草』。『ねこぢるy』。そしてこの『ねこぢる劇場』。そのどれもが深淵なるねこぢるの井戸に桶を吊るし入れた作品です。汲めたナニカをぎゅっと濃縮したのが『ねこぢる草』。できうる限り過剰な演出など避けて丸かじりしてみたのが『ねこぢる劇場』。この世で最もその井戸のそばにいたのに、否、いたればこそ持ち得た生前の姿・声・呼吸・思考・嗜好・生き様・残された直筆のメモや夢日記を材に作品の深化を試みた『ねこぢるy』。…ねこぢるyの解釈にはわだかまった違和感がつきまとったためか私は好きにはなれなんだ。しかしてアプローチの仕方はそれぞれながらもどの作品にも共通して、 あのどこ見とるかわからん目をした猫への畏怖、興味、共感が充満しているような気がする。カール・セーガンよろしく無闇にパラノイックに構えて分析するのも勝手だし、単なる数多ある娯楽の一つの形としてあろうとしただけだろうと遠巻きにその存在をとどめておくのもいい。実際、知り合いなんかはねこぢると和田ラジヲを同じ棚に並べていたし、解釈はいくつあってもいいと思います。たった一つの解釈以外は認めない!なんてケチクサイ作者でもないでしょうから。一度心にこびりついたら、ちょっとやそっとじゃ忘れられない。憶えやすいのは見た目だけにそれはあらず、誰しも心では渇望していながら、そう易易と表立っては言えない出来ない荒事をあの猫はやってのけてしまいます。このDVDの特典映像にガロ表紙集が収録されてて思い出したのが「物や人の本質を瞬時に見抜けてしまう人。またそれを素直に口にしてしまう人」とする、根本敬さんのねこぢる評。なんかステキダワー。
ぢるぢる旅行記はインド編はインドのことしかないですが、この総集編はインドに加え、ネパールのことも書いています。 数年前のものなのでちょっと古いですが、ネパールのことをイラスト、漫画で見れるのはこれくらいなんじゃないかと。 ねこぢるは毒舌な面もあるのですが、「貧しい」とかいって見下したり憐れんだりしているわけではなく、偽善っぽい感じも全然なく、率直です。そういう意味では珍しい本なのかもしれません。
ねこぢるファンなら迷わず買いましょう。 漫画を断片化し、それをわかる人にだけわかるように繋いだ作品。 正直万人向けとは言い難いです。姉弟愛だけのストーリとして見ること は可能ですが、ファンの為への作り込みが有ります。 ねこぢるファンなら、タイトル末尾の「草」で、ハズレでは無いと 気づくはず。発音があえて「そう」。確信犯ですね。 ウルトラバイオレンス姉弟の繰り広げるサイケデリックワールド。 ねこぢるが呼んでいますよ。
もう逢えないと思っていたねこぢるさんに、また会うことが出来ました、心から感激です。ご主人山野さんのねこぢる像にますます好きになりました。何度も読み返したんだけど、もう一度、ねこぢるさんの愛したにゃーこ、にゃっ太に会いにいこう・・
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