坪内祐三と福田和也の対談集で、両人とも「すごくいい」と誉めていたので、読んでみた。おそらくどこかの雑誌に連載されていた身辺雑記風エッセーをまとめたものだ。彼の著作は『九月の空』以外には知らない。それも実際に読んだことはない(映画は見た)。改めて彼の著作を確認してみたが、その数の多さに驚いた。小説あり、ルポタージュ集あり、エッセー集あり。しかし『九月の空』以外、まったく知らなかった。書店で見かけたこともない。彼が時代小説を書いていること自体、本書を読んで初めて知った。
後半で自身の病気のことが出てくる。糖尿病と肝臓障害で、HbAc 8.5%で、γ-GTPは4000を越えたそうだ。インスリン自己注射もしているらしい。こんな状態でも朝から飲酒し続けているのはすごい。余人にはとうてい真似できない豪胆さだと思う。
面白く読んだ。しかしお金を払ってまで買う価値はない。暇潰しにはなる。
東京、杉並区阿佐ヶ谷を舞台にした、ある意味中央線気質な映画。
クサいなあと思う台詞でも、後々効いてくるから不思議です。
さらにクサいと思う演奏シーンも、かなり効いてくる。
昭和と平成の間を行き来するような、あったようでなかった不思議なトーンの映画。
4000字という制限のなかで作者独自の小説による「宇宙」を作り上げるのはベテランクラスの作家であってもなかなか難しいようだ。もちろん、語り口の好き嫌いも読後感を大きく左右するのだが、「短編小説の名手」として定評のある小説家でも「幻想」や「夢オチ」「SF」「童話」に逃げていたり、いかにも断り切れずの「ヤッツケ仕事」と想像される作品もあるし、逆に失礼ながらあまりよく知らない作家でも巧くまとめきった作品もありまさに30人30様。いっそのことこの字数制限で一般公募してみたらどうだろうか?
まず文体の歯切れが良い。主人公の剣道に打ち込む姿、思春期の性へ憧れ、澱んだ青春の一場面など、とてもさわやかに活写されている。著者の作品には純粋で明るい女の子が登場するのも特徴だ。そして著者の作品は実体験をもとに描かれているようなので、読むものに与える感動も大きい。この本を高校時代に手にしたときから著者の作品、そして著者の大ファンとなった。著者の本を読むたびに自分の人生に多大な影響を与えられた思い出がある。時を経て今読んでも感動は変わらない。
いわゆるショートショートが30編、どれも10ページ前後で気軽に読める。
短いだけに、ストーリーにメリハリをつけるのがかえって難しそう。
「これは」と印象に残ったものをいくつか。
落合恵子『探偵ごっこ』。公園に行くおじいちゃんを探偵ごっこで、こっそり尾行する孫。ほのぼのとした結末。
高橋三千綱『相合傘』。ある雨の日の出来事、その後の中年男の寂寥感。
小沢章友『死の天使』。研修中の看護師が壁に貼っていく手作りカレンダー。本格ミステリに匹敵するショートショート。
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