作者が東北のウナギ、四万十川のウナギについて 取材していおり、その回は興味深いものがあります。 ただ、他の回は鰻屋店内での細々とした薀蓄、こだわりを語る ような話に終始しているので新鮮味はありません。 酒のほそ道と比べてジャンルが狭いので、苦労しているのかな と思いましたし、またこのタイミングで終わるのが丁度良い 気がしました。 私のように1〜3巻まで持っていて、最後は持っていないのは 気持ちが悪いという人なら購入しても良いのではないでしょうか。
ウナギの食べ方のこだわりに加えて ウナギを食する方の心情とか、 婚約者とのウナギの食べ方の違いに困惑するとか、 ウナギを中心に、とても良く人間模様を描いていると感じました。
食事の場面は本当に美味しそうです。 この本を読みますと無性にウナギが食べたくなりますですはい。
まるで2チャンネルの管理人のような顔の主人公(侍)が、家出をして庶民と暮らすストーリー。町人たちの生活の知恵を学びながら、夢をかなえる。
冷蔵庫が要らなかった理由が一番面白かった。
野球場で飲み物や食べ物を売って歩くや車内販売のひとのように、一日中誰かしら何かしら長屋を行き来しているので、ほしいときにほしいだけ買えばよくとりたてて貯める必要がなかったという便利さ。
貯めることがなければ、そりゃ、金は天下の回りもの、とノー天気でいられる。この世間知らずのサムライのように誰でも、貯めなくても安心して暮らせる世の中が出来れば、江戸のような平和がおとずれるのかも。
この作品は、「肉筆画の題材絵の1コマから始まり、おなじみの登場人物が酒と肴をお題にしたショートストーリーを展開し、1句で6ページを締める」というスタイルです。
このように定型詩のごとく制約の多いスタイルを貫き、長期連載している本作品に対して、ワンパターンという批判はお門違いです。マンネリ批判をしている読者は、この作品に何を求めているのでしょう??
作者は15年以上もこのスタイルを続け、このジャンルのトップランナーでありながら現役のフロンティアでもあり続けています。
新刊の「う」における鰻のみならず、魚、居酒屋メニュー、寿司、麺、蕎麦などおよそ他者の追随を許さない超ニッチなジャンルでの精力的に活動しているというのは、驚異的ですらあります。
数多ある著書の中には、出版社の粗雑な扱いにより、ガッカリする単行本もありましたが、本作「酒のほそ道」はどれを取っても間違いのないクオリティをキープしています。
「酒のほそ道」が王道的ライフワーク、他作品は冒険するフィールドワークといった位置づけでしょうか。読者もその覚悟は必要なのかもしれません。
さて、29巻の見どころはやはり作者エッセイ「最後の晩酌」でしょうか。今わの際にこの当代随一の呑兵衛作者が何を飲み、何を食べるかをシミュレーションする企画です。
その他、流行のノンアルコールビールを扱った一本もありながら、やはり定番の味わいでした。★5つということもなければ★1つということもない、いい意味でいつものクオリティです。
なお、絵柄を批判される方もおられるようですが、私は正直初期の単行本と比べても現在の絵柄のほうが好きです。これは個人の嗜好の問題で、わざわざ押し付けがましく喧伝するような話題ではないですね。
失礼ですが、「昔の味は良かった」とか「先代の主人の味には及ばない」だの店内でわざわざわめきちらす酔っ払いと同じレベルと存じます。来るたびにがっかりして文句をいうなら、来なければいいのに不思議なものです。
その店には今の味を楽しむ新顔の客もいて、味の変化を楽しみながら静かに酒を飲んでいる常連もいます。昔からの客が偉いということもないでしょうし、口に合わなくなったら黙って勘定をし、別の店で飲み直すのが「粋」なのではないでしょうか・・・
この漫画を読むと作中にも出てきた蓬莱軒に行きたくなります。 実際焼きのしっかりした名古屋のうなぎは最高でした。 作者にお礼を言いたいです。
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