他のレビュアーの方々の評価に違わず、素晴らしいDVDでした。
1950年代録画ということでコンサートの収録はモノクロです。
画質的に多少見苦しい点はありますが、音楽レーベルのDVDだけあって音質は比較的良く、視聴に不快さを感じません。
何よりそんなことを忘れさせるほど、カラスの魅力に圧倒されます。
客席からは鳴りやまない拍手とブラボーの嵐、思わず観ているこちらも「ブラボー!」と
立ち上がりたくなります。
第一幕の2曲目が“casta diva”、第二幕のトスカに至っては、まさに圧巻です。
廃盤ということで入手しずらくなっていますが、オペラファンの方には是非お勧めします。
「マリア・カラスの真実」を見てから彼女の舞台を見たくなりこの「エターナル・マリアカラス」を購入しました。1958年のパリ公演からヨーロッパでの公演が収録されています。圧倒的なあの声にはただただ聞き入るばかりですが、これに表情が加わると鬼気迫るものがあります。カルメンのカラスとジャンニスキッキのカラス、表現力は女優としても超一流ですね!
なお、このDVDには短くカラスの生涯を紹介した部分とカラーのインタビュー(ただし英語・フランス語)があり選択しなければ再生されませんのでご注意!
また、彼女のお気に入りでしょう大粒のダイヤのネックレスとイヤリングを付けた舞台がよく見られます。
女性には目の毒でしょうが。
オペラの魅力を発見するまで、マリア・カラスは私にとって変な声で歌う個性的な歌い手でしかなかった。オペラの魅力に目覚めてから数年、すっかりオペラ狂いになったが、行き着いたところは歌い手としてはマリア・カラスだった。なんといってもそのドラマチックな表現力に驚いた。まさに「歌劇」というに相応しい。カラスの歌唱の秘密を知りたくて評伝など読んでみたが、歌による演劇のためのカラスの練習法を知り、納得した。歌唱の練習を一通り終えると、それからは音楽抜きで台詞として演劇的な練習を徹底的にしたらしい。そして、納得のいく演技が出来てはじめてもう一度音楽付きで歌唱訓練をい行ったらしい。この事実を知ってカラスの歌を聴くと納得がいった。数ある歌い手の中でマリア・カラスは別格だと思う。決して美声ではない。もとはメゾソプラノなのでやや苦しげな歌唱だが、それがまた劇性を高めている。リアルタイムでは聴いたことはないが、マリア・カラスは永遠だ。食わず嫌いの方がいたら、先入観を捨て、もう一度聴いてみてはいかがだろうか。
カラスの個人的推薦盤を列記すると「ノルマ」セラフィン旧盤、「イル・トロヴァトーレ」56年カラヤン盤、「仮面舞踏会」57年ガヴァッツェーニ盤ライヴ、「アイーダ」51年デ ファブリティス盤、「ラ ジョコンダ」52年ヴォットー盤、「蝶々夫人」55年カラヤン盤となります。「椿姫」、「マクベス」、バーンスタイン指揮「夢遊病の女」、「アンナボレーナ」、「アルミーダ」、「メデア」その他はどうしたとお声がかかりそうだが、録音状態とか恥ずかしながら曲自体を私が理解いたしかねているのです(彼女の全録音を聴いたわけでもありません)。さてこれらの動画を視たいところですが、一切ありません。本書にはプロになってから演じた33曲の舞台写真が114ページにわたって場面解説つきで見ることができて飢えをしのげます。オペラは観るものですから容姿は重要です。お猿相手にbellaといわれても納得しかねるのです。単に容姿だけなら例えばA.ステッラのほうが上かもしれません(この点ではカバ、フランケン、象さんは負け)。ところが一方で迫真的に歌え演技できると少々ブスでもきれいにみえてくるのです。推薦盤にきく彼女の声の自在な表現力と総合すると痩せてからの彼女がダントツに美しいとなります。本文は生い立ちから死までの伝記ですが、マスコミで触れられるように肉親、ライヴァル、男性、劇場、観客などとのトラブルの連続です。著者も含め誰の言い分が事実、正当なのか、彼女は性悪女なのか、彼女と結婚生活をするなら重要ですが、CDを聴く分には無用です。あなたは知らないおばさんが職場の人間関係や自分の男女関係の「真実」を逐一ネットにさらしていたとして熱心にご覧になりますか。だから巻末の公演記録だけで十分です。しかし、彼女の歌唱技術やオペラ作品(のソプラノ役)に関するコメントを集約した「芸術家の誕生」の章は読む価値があります。テクニックが不完全でもどうにかなるとみていた(必ずしも大好きとはいえない)「トスカ」でプロ主役デビューし、衰えた最終段階まで舞台にかけたのが同曲だったのは彼女の見解の妥当性を示しています。なお、彼女のDVDは同曲の第2幕その他コンサートがかろうじて残っています。これらを視ると彼女は演技力も抜群だったと知れます。超大物ソプラノ払底になって久しいが、人類は60億人もいるといいますから、死ぬまでに容姿、声、表現・演技力3拍子揃った登場第1声で場内シーンと静まりかえる彼女のような真のプリマドンナを見れる可能性はあると思いたい。
マリア・カラスの名演集。以下は収録データの概要。
◆ヴェルディ:歌劇『椿姫』全曲
ヴィオレッタ・ヴァレリー:マリア・カラス アルフレード・ジェルモン:ジュゼッペ・ディ・ステーファノ ジョルジョ・ジェルモン:エットーレ・バスティアニーニ フローラ・ベルヴォワ:シルヴァーナ・ザノッリ アニーナ:ルイザ・マンデッリ ガストーネ:ジュゼッペ・ザンピエリ ドゥーフォル男爵:アルトゥーロ・ラ・ポルタ ドビニィー侯爵:アントニオ・ゼルビーニ グレンヴィル博士:シルヴィオ・マイオニカ ジュゼッペ:フランコ・リッチャルディ ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団 カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)
録音時期:1955年 録音場所:ミラノ、スカラ座 録音方式:モノラル(ライヴ)
→CDではベスト・オブ・オペラ 【メンブラン10CDセット】によるスーパー廉価の購入も可能。
→→マリア・カラスについてはマリア・カラス―ひとりの女の生涯を、ジュゼッペ・ディ・ステーファノについてはわが敵 マリア・カラスを参照。
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