素晴らしいUKバンドの一つ、verveを解散し、 それぞれの時を経ての、彼の待望のソロ作品。 バンド時代の存在感などを比較しようとしても無意味だ。 ただ良い楽曲と思想が込められて感動を巻き起こす。 もちろん、人によって好みの差はあるだろうが、 私にとっては大切な作品であることに変わりはない。 音楽を通じてのドラマ性が少しずつ現実と化していく雰囲気。 これもまた癒しとなる。
今回もビートの洪水。やっぱりかっちょいいわ、この人たちは。ファーストシングルの(2)を始め、(1)(4)(10)など聞きどころは多い。(4)なんかはNYハードハウスを思い出させるようなバックのビートで、逆に新鮮でかっちょいい。途中だれる部分もなくはないが、やっぱり先を行くビートはこの人たちならでは。
初期はサイケデリック路線、解散までメロディック路線だったThe Verve、メロディック路線のBitter Sweet SynphoneyやDrags Don't workなどはメロディが覚えやすくキャッチーで人気が高かった。
再結成して初となるこのアルバムは、サイケデリックとメロディックが融合して、口溶けが良くなっている。解散前後期のファンであれば、The Verveの新たな面を見出すであろう。初期のファンであればサイケ路線の復活に喜びを抱くだろう。
アルバムとしての完成度の高さは、1stアルバムのまとまりのよさと抑揚のバランスの良さを考えれば満点と言うわけにはいかないが、この年になって一度解散させたバンドを再結成し、新たな音楽を追求したことには過剰の評価を与えたい。
2曲目のSonnetには感動しました。。 この名曲に出会うためだけでも聞く価値あり!!
“Key To The World”
今回のアルバムタイトルはリチャードの音楽世界を端的に表現している言葉だと思う。リチャードの音楽世界から僕が感じるのは、
世界は混乱に満ちていて、人々は時に冷酷で醜く、そんなこの世に生きることは途方もなく切ない営みだけれど、だからこそ(すごく難しいことだけれど)世界に対しては暖かいまなざしを向けていたい
という感覚。この世界に暖かいまなざしを向けて自分なりに美しく生きていくためのエネルギーというか手段としての音楽。それは「祈り」っぽくもあり、それが彼の音楽が何かしら「神聖さ」というか、音楽に対するとてつもない真摯さを感じさせるのだと思う。
昔から一貫してこういう音楽を作っていたと思うが、今回はそういう世界観がさらに濃厚になってきていると感じる。なにより捨て曲が1曲もなく、最初から最後までその緊張感が保たれているのがすごい。
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