「つゆだく」や「白馬の王子様」のイメージしかなかった朔ユキ蔵氏。 今回のなんだこりゃ。最初、表紙を見た時朔氏の作品とは思えなかった。
「少女」の価値観で動く特殊な狭い世界の中のメルヘン。朔氏はある意味本当の大人が読める童話を書いたとおもった。なお、童話の根底に流れる少女性が分かってらっしゃる。
具体的な内容は避けるが、ヘルガの叔父のアドールフと同じ誕生日の2人の男女の役割がもっと深く切り込んだら長編になってしまうのだが。そこをサラっと描いているところが程良い余韻となるときもあり、少々物足りなくなる時もあり。
今回の朔氏はエロティックFに描いたとはいえ、単なるエロというより叙情的な恋を描いたように感じられる。恋愛に生じる心身の状態を鋭く描いている。
ある意味、上手に演出すれば、バレエ作品にできるのでは?とすら私は個人的に思った。
バレエって、ある意味色気がある舞踏だからね。
肉欲をガマンする苦悶を際立たせるために、主人公を坊主に。 で、ヒロインは嫉妬深い、仏教にしてみれば邪悪に近い存在に。 設定からしてメタファーまで完璧。よく考えたナー。
あいかわらずユキ蔵氏のドロドロ炸裂。 ていうか巨乳のセフレがいるのに、煩悩を否定する肉欲坊主と、すべてを持ってるライバルに嫉妬し続ける邪悪な彼女が見合いするとかすでに暴発気味。おもしろい。 で、同僚の手の早いモテ坊主が関係を引っ掻き回す。
全体的には白馬の王子サマと大して変わらんけど、 主人公とヒロインが欲望と嫉妬に苦悶し続けてるのが新鮮。
結論、 『白馬の王子サマ』は終始 ”迷う” マンガだったが、 『お慕い申し上げます』は終始 ”苦悶する” マンガだと思った。 ※セルフはまだ読んでないのでこの比較・・・。
しかしあれだ、仏教(宗派がわからん)の教えが一部、謎として使われているが、ちゃんと話が通じるのはやはり作家の力量だな。
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