この作品ほど、保存版としてのBlu-rayが欲しくなる作品も少ないのではないでしょうか? 友人に聞いた所では、原作とは全然違うとの事ですが、 私は原作は読んでないし、あまり興味もないのですが、このテレビ版はすごく良い出来だと思います。 配役といい、ストーリーといい、よほど目が肥えてる人でなければ完璧!に感じると思います。 ネタバレを避けるために、あまり書けないのが残念なのですが、 僕にとっては、これだ!と叫びたくなるくらいサイコーのラストでした。(マジ、泣きます。) 日本人っていいなって改めて実感出来る作品ですね。
辻仁成が作り出すのは儚さの世界だった。東洋的な無常観にある美しさを描く。
海も潮風も建物もピアノの音色も全てに虚無感が漂う。絵に人はいない。孤独の世界が描かれている(能登半島門前町を選んだロケハンが非常にいい)。
ツルギ、トガシ、ユマそれぞれの引き合う孤独の引力が、不思議な交わり方をし、生と死を見つめた1ヶ月。「託された想い」がそれぞれを結びつけ、つき動かす。
そう、この3人を出会わせたのは“ヨウコ”。人は死者を見送るとき、魂がこの世に残ると感じる神秘感を体験するが、残されたものたちは死者の残した情念に支配されうる。それがこの3人を出会わせた。そして、「託す思い」はラストのカットへと受け継がれる。
豊川、大沢、yuma(新人)の演技がいい。ひなびた哀愁が出せている。特に豊川は儚さや孤独という役どころはさすがだ。yumaも演技っぽくないのがいい。自然さにおいてはいい女優だと思う。悲哀や心の闇の作り方に置いて、大沢は豊川との違いを出すのに難しさがあっただろうが、役どころの「軽さ」を丁寧につくっていた。
「千年旅人」という題が見終わった後にじんとくる。
綾瀬はるか主演映画 "ICHI" の主題歌。
ソンミンを聞いたのはこれが初めてだが、メロディーのすばらしさと彼女の歌唱力には圧倒された。
歌のはじめは極おとなしい。
次のフレーズ
"願うことは ただひとりの人を信じる強さ 形のないあたたかい温もり君が教えてくれた"
でボリュームが上がる。
そして
"ふたりなら Find out and share with you 超えられる I will I will 支えているはずが支えられていた 気づけば互いの愛で"
のクライマックスに続く。
タイトルの "Will" はこのクライマックスからとったのだろう。
映画のテーマは、上の二つのフレーズそのもの。
映画 "ICHI" の脚本・演出には賛否両論あると思うが、この曲はおすすめである。
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