この作者の作品を初めて読んだ。この作品の映画を見た人が、絶賛していたからである。
解説を書いているのが、児玉清さん。有川さんは「めっちゃ面白い本を書いてくれる」と、
児玉さんは、この作品のみならず有川作品を絶賛されている。作者に引かれてか、
現代の「新語」をふんだんに使って解説されているのが印象的であった。
わずか15分間の路線の電車から、さまざまな人の人生が見える。
それを作者が女性の視点で観察し、料理していく感じ。包丁さばきは実に見事で鮮やか
である。極めてありきたりの具材が、こんなに洒落たお料理に仕上がるなんて・・・
という小さな感動がある。
しかしメインディッシュではない。ちょっと美味な「お通し」が次々小鉢に入れられて
出されて味わう感じ。もちろん後味は悪くない。ほのぼのとした読後感が残る。
わずか何両かの車両とそこで流れる時間の中には多くのエピソードが詰まっている。そこには人々の喜怒哀楽が常にある。この作品はそこを見事にすくいあげている。大きな展開はないけどそこに魅力がある。ありふれた日常の数々を見事に映し出しているのだ。ウェディングドレス姿の乗客はいないだろうけど。 登場人物が多いが1人1人のエピソードを丁寧に描いているので混乱する心配も無用だ。季節を越え描いているのもいい。その間に変わったことやそうでないことがきっちり描かれていて。回想シーンが中心なのだがそれが続くのかと思うと、別の演出をしてくる。このあたりも非常にうまい。観ている間は笑ったり、少しグスンときたり。実に映画らしい映画だ。 女優陣がとくに頑張っていた。なかでも宮本信子は好演だった。
「図書館戦争シリーズ」は4巻で完結です
図書館戦争シリーズ(5) 、(6) がありますが
いずれも外伝です。
4巻でもラブコメ路線もシッカリ貫かれていますが、
戦闘も郁を中心に派手に盛り上がっていて
目の話せない展開になっています。
最後は、恋にも、図書隊の未来にも
予想を裏切らない方向でケジメがついていて
楽しくすっきり完結しています。
本編の後に
短編『プリティ・ドリンカー』が収録されてます
柴崎と手塚をたっぷり楽しめる甘まーい外伝です。
児玉清さんとの対談もあります。
「空の中」なんてちょっと変な名前の本が気になって
つい、買ってしまった。
「空の中」には何があるんだろう・・・・
「空の中」には「白鯨」がいたのだ。
遠い昔、地球が生まれ、人類が発生するずっーと昔から
人間の目の届かないところに、
「全き一つ」の生命体として・・・
確かに、地球上に人類がはびこっている。
しかし、そんな人間の目の届かないところは
まだまだたくさんあるし、
そんなところに人間の想像だにしない生物がいても
不思議はない。
そんなことを考えながら楽しく読ませてもらいました。
登場人物も、キャラが際立っているし
読後感もさわやかでした。
みなさんも、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
もうひとつ、おもしろかったのは「白鯨」の性格。
平和を望み、他との競争を望まない。
静かに暮らす・・・・
それは、人類がずっーと夢に描いていても
実際には、その性質の故に手に届かない夢。
25000mの高みは、手に届かない、エデンの園の極み。
そんな生物にも、他を信じることができない人間は
自己の性格の故に自分と同じものとして、そんな生物を判断してしまう。
そんな人間の弱さと、「白鯨」を
神のような生物に描かれているのが興味をそそりました。
『図書館革命』のエピローグのその後を描いたスピンオフ小説になってます。
別冊'1と同様に、恋愛要素に重きが置かれてお話が進むため、回想シーン以外に良化特務隊が登場しません。
基本的には柴崎と手塚の恋模様がメインです。
個人的には第一章「もしもタイムマシンがあったら」で語られる副隊長緒方の過去の恋バナが一番好きです。
玄田隊長と折口さんといい、稲嶺司令の奥さんへの想いといい、有川さんの描く大人の恋愛はどうしてこうも素敵なのか。
現実世界にこんなにかっこいい大人たちって中々いないですよねぇ…。
単行本未収録短編『ウェイティング・ハピネス』では、大人たちのその後を知ることが出来ます。
図書館戦争シリーズが読めるのはこれでひとまず終了でしょうかね?
有川浩さんの次回作に期待しています!
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