才能のあるピアニストが、病に倒れ再起。それだけならば、注目はされない。左手から生み出された音楽は、両腕のピアニストよりも遙かに多くのことを語る。ミロのヴィーナスが、あれでよかったように、小川国夫ではないけれど、これで良かったのだと納得できる。もちろん、大河ドラマ「平清盛」のテーマはそのドラマの印象に左右されがちだが、この演奏はそれを嗤うかのように超えている。レベルは遙かに上だ。 どれだけ鍛錬を重ねられたことだろう。並の精神世界では辿り着くことはできなかったかと推察される。命ある音楽家の心意気に跪きたくなる逸品だ。
レビュワーの評判がよかったので買ってみたのですが,本当によかったです. 特によかったのがシャコンヌ.ブゾーニなどの両手あるいは4手などもよい編曲ですが,この演奏を聴くと,シャコンヌがバイオリンパルティータであることを思い出させてくれ,バッハの偉大さを再認識せずにはおれません. 演奏者が,ピアノを弾くのに両手,片手は関係ないという主旨の発言をされていますが,その意味がひしひしと伝わってくる名演です.聴いていると,両手で弾くことの意味が空虚にさえ感じられます. スクリャビンも気に入りました.ひとつひとつの音を極めて大切に扱っていること,無駄のない演奏とはこういうものだという実例を目の当たりにした思いでした.
各作曲家の小品をコンパクトにまとめたものです。 どれを聞いてもすばらしいものばかりです。 私はシベリウスの「練習曲」とクーラの「結婚行進曲」が特に気に入っています。 さすがは舘野泉さんだ、と思いました。
フィンランドの音楽に癒されました。 舘野泉さんのピアノの音色はとても自然で、カスキの音楽にとてもぴったりでした。
最近、館野さんをテレビで見ました。左手で、ブリッジ、スクリャービンを美しく演奏されていました。 カスキの「激流」「夜の海辺にて」を偶然知って、楽譜と館野さん自身の演奏のCDを購入しました。館野さんが右半身麻痺と知ったのはその直後でした。カスキこの作品集はバラエティにとんでいて、激流のように激しいものもあれば、1番の「泉のほとりの妖精たち」は本当に澄んだ美しい曲ですし「山の小人のセレナーデ」ははずむ早いテンポで面白く楽しいし、「古い時計台」は重々しく低音が鳴り響きます。「夜の海辺にて」は日本の演歌にも似ていて親しみやすいです。「バラの花園の乙女」はいかにもおとぎの国。1曲1曲は短いですが、盛りだくさんという感じです。メロディラインもはっきりしていてハーモニーも美しいしほとんどの曲が弾きやすいと思います。CDの館野さんの演奏にも魅了され、他の楽譜やCDも買いあさってしまい、コンサートで生で聞きたいと思いましたがこれらの曲は演奏不可能なってしまったようです。が、左手でこれからも演奏活動を続けていかれるそうなので機会があれば行きたいと思っています。とにかく館野泉というピアニストと出会うきっかけになったこの曲集は私の宝物です。
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