この本では徹底して素人でもわかるように書かれてあります。 読んでみれば誰でもなぜ現代宇宙物理学が間違った方向に行っているかがわかります。
それは作者が説明をわかりやすい例えを用いて、 始めから終わりまで、誰にでもわかるように書いているからです。
オッカムの剃刀―単純でシンプルな説明ほど真実という思想 著者はここに「巨視的」という条件を加えても成り立つと考える。
例えば本文はこのような比喩を使って問題の本質に迫ります。
ここに金魚鉢があり、その中を金魚が泳いでいるとする。 金魚鉢のガラス面が金魚にとっての限界面である。 金魚鉢の水を宇宙と考えると、金魚のように私たちも宇宙の含有物である。 だから宇宙にも金魚鉢のガラス面のような限界面があると考える。 しかし、宇宙には限界面がない(無限)と宇宙科学者は主張する。
いまだにデフレを脱却できないでいるのに、 なぜか日本政府がアメリカに米国債を買わされていること、
平成22年7月11日の参院選で民主党が44議席しか取れていないのに、 なぜか選挙の責任者である首相の管直人氏をメディアが容認し続けていること、
現代物理学に興味がない方でも、真実について改めて考えるきっかけになるでしょう。
ダークマターは、圧倒的大多数の科学者がその存在を認めていても、何で
あるかは分からないという問題があります。
そのため、私は「何であるか分からないけどとにかくある。」との曖昧さ
から、本当はそんなものは存在せず、観測データの不足か、他の新たな
理論によって解消されるべきものではないかと疑っていました。
同じ著者が05年に書いた暗黒宇宙の謎 (ブルーバックス)
を読んでも、この疑念は晴れませんでした。
銀河の回転速度の問題は、他の理論でも説明できそうな感じもしました。
しかし、本書を読んでその疑念は晴れました。
銀河による重力レンズはダークマターを考慮しないと説明できないこと、
宇宙マイクロ波背景放射の均一さからはダークマターを考慮しないと
銀河の形成を説明できないこと、冷たい暗黒物質(CDM)論による
ダークマターの分布の検証などから、納得できました。
なぜこれらを前著に書かなかったのかと思いましたが、観測技術が近年
飛躍的に進歩し、その結果が最近相次いで出されてきたという事情では
仕方がないということでしょうか。
とにかくダークマターがあることは納得できました。
が、いまだにダークマターの正体は良く分からないのですね。
天文学の分野は今でも文字通り「日進月歩」だ。ブルーバックスシリーズでも宇宙を取り扱った本は多数出ているが、過去に出た本は時代遅れになりつつある。「ブラックホールは本当に存在するのか」だとか「宇宙膨張は加速しているのか」などは、現在ではかなりのところまで分かってきているようである。 この本では研究の第一線で活躍している著者が、「ダークマター」「ダークエネルギー」をキーワードに、最新の天文学を平易な言葉で解説してくれている。図表が多くてわかりやすいのも特徴だろう。個人的には、数式が必要なところでは数式をきちんと用いてくれていたのが理解の助けになった。 天体の写真がカラーで載っていたらより良かったと思うが、内容に満足できたので星5つ。
一般教養向けに素粒子物理学の本は海外ものを含め多数出版され読んできたが、わかりやすさという点では本書は秀逸。わかりやすさといっても素粒子物理学が分かるわけでもなく、説明されている事が理解できる訳ではない。そもそも理系学問の中でも最先端の分野がそう簡単に説明できるわけはない。本書が優れているのは、何が分からなくて学者が研究しているのか、宇宙を構成するものがどの様な過程でどの程度まで解明されてきているのかを、一般人にもイメージしやすくわかりやすい文章で記述している事。非常に難しい事を難しい数学を使用して説明するのは専門家には簡単であるの対し、数学を使わず日常的な文章で説明するのは大変な苦労があったと思う。 よくわからない面白さを与えてくれる良書だと思う。わからなければ面白くないではなく、わからないから面白いという好奇心をもつ事が大切だと教えてくれる。。
「宇宙は加速膨張している」という発見の物語である.著者はサイエンスライターで,その発見に関係した研究者のおりなす人間ドラマをドキュメントにまとめあげた.膨張宇宙の発見,宇宙背景放射の観測によるビッグバン宇宙論の確立,そして暗黒物質の存在の確認を経て,物語は暗黒エネルギーの存在の発見へと進む.Ia型超新星が標準光源として使えることが分かり,多くの遠方のIa型超新星を観測することにより,宇宙が物質の重力に逆らって加速膨張していることが確かめられた.この結果,宇宙のエネルギーの70%は物質のエネルギーではなく,斥力をもたらす暗黒エネルギーであることが分かったのである.今のところ,暗黒エネルギーは宇宙定数Λと同定して差し支えないようだ.
物語の登場人物は次から次へと変わっていくので,どの人物がどうだったのかはかなりややこしい.また団体名や施設名やプロジェクト名などは略号で呼ばれることが多いので,覚えにくい.分からなくなれば,ときどき索引を繰ってみるのがいいだろう.和訳と註は,訳者がこの方面の専門家だけあって非常にきちんとしている.
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