モスクワの凍てつく雪の道を一人の少女が鼻を赤くしながら歩いている。 年のころは17、8歳くらいだろうか、少女はアパートに入り、灯りのない階段を抜ける。 壁にはロシア語で何かいたずら書きがあり、決して高級なアパートではない。 少女が部屋に入ると、奥の部屋に見知らぬ男が右手に銃を持ち、左手から血を流し、窓越しに腰かけている。 傷つけるつもりはないという。単なる強盗ではないようだ。 憔悴しきった表情の男は、両親を幼いころになくした少女のこれからの人生が一変してしまうような驚きの事実を静かに語り始めた。
前作の成功を受け、その2年後に作られた続編は、ダグ・リーマンが製作総指揮として名を残したが実質的にはプロジェクトを去り、新たにポール・グリーングラスが監督として雇われた。
グリーングラスの代名詞とも言える手持ちカメラの多用とせわしなく細かいカット割りを入れるスタイルはここでも如何なく発揮されていて、特にマット・デイモンとマートン・チョーカシュの殺人マシーン同士の凄まじい肉弾戦の殺し合いのアクションに顕著に現れている。
ヨーロッパの、そしてベルリンからモスクワへの沈鬱を背景に、絶望と希望、裏切りと忠誠、過去と現在、そして組織と個人と暴力が激しくぶつかり、最後の後悔と告白につながる。グリーングラスのこの続編も決して悪くはない。
映画好きを以ってしても、映画を観終わった直後に直ちにサントラ盤を聴きたくなることは滅多にない。まして、話題になっている楽曲や主題歌、ミュージカルでもなければ尚更だ。しかしこのアルバムは、とにかくムショウに聴きたい衝動に駆られたのだ。「ボーン・アルティメイタム」は、本当に数年に1本出るかどうかと言って良い傑作だと思う。そして、その最大の魅力は、何と言っても劇中3度に渡って、ジェイソン・ボーンとCIAとの間で展開される手に汗握り息つく間もなく続く追う者と追われる者とのアクション・シークエンスだ。縦横無尽に動き回るハンディカメラによるカット割りに、このジャンルの古典的名作「フレンチコネクション」も裸足で逃げ出すような畳み掛ける編集、そしてド迫力のスタントと大満足する事必至なのだけれど、それらのアクションの流れと正に一体化し、疾走感と緊張感を醸し出してくれるのが今作で聴ける音楽、特に2の“TANGIER”は、ズズンと腹の底から湧きあがるようなダイナミックなリズムで、映画の興奮を甦らせてくれること確実だ。5.1チャンネルの大音響で聴くのも、カー・オーディオで車中で聴くのも良しだが、ハイウェイ走行中には注意が必要。知らず知らずのうちに、映画そのままにアクセルを吹かし、ハンドルさばきが荒っぽくなってしまいそうな高揚感があるからだ。
2時間楽しめるスパイ映画でした。
かっこいい主役の青年、洗練されたアクション、カーチェイス。
CIAも非情に徹していて、スパイ映画の王道を行ってます。そう、敵役はかくあるべし、のお手本ですね。
主人公が記憶をなくしたスパイということは冒頭からほぼネタバレ状態ですが、彼が何故、暗殺任務に失敗したのか等、徐々に核心に近づいていくストーリー展開は良かったです。ラブロマンスはちょっと薄味ですが、劇の緊張感とのバランスから考えるとこの程度でいいのかもしれません。鑑賞後の後味も良くいい余韻があります。
劇中で使用されたヨーロッパ各所の風景が美しいですね。短いシーンでもさりげなくそれぞれの場所の雰囲気が伝わってきます。
どことなく無機的な雰囲気が漂うサントラ。
静かな音楽ばかりだと思ったら、急にテンポが速くなったり、
主人公のボーンと同じように「静」と「動」のメリハリが効いています。
トラック6と18で聴ける、少しテンポを外したようなメインテーマっぽいやつがかっこいい。
残念なのはMobyのExtream Waysが収録されていないこと。
聞きたい方は、素直にMobyのCDか、次回作「ボーン・スプレマシー」のサントラを買ってください。
「ボーン・スプレマシー」のサントラは、このサントラのテイストを受け継ぎつつ、重厚さを増した良サントラ。
こちらもオススメです。
内容は皆さんが評価しているとおり、文句なく面白い。
「殺し屋」という日本語の響きは陳腐だけど、無言で
息使いとぶつかり合う音だけが聞こえる格闘シーンは、
見ている側も息をつく暇もないくらい圧倒されて、
リアル感を与えていると思う。
それと3作ともカーチェイスが半端じゃない。
ブルーレイで画像も音声も最高で、買い換えてよかったです。
ただ、当たり前ですがパッケージはすべて英語表記なので、
パッケージを見る楽しみがないかな。
単品の日本版も安くなったけど、ボックスだし英語表記でも
いいという人は買いですよ。
|