同時代体験には少し遅れた世代の私。 ジャズ好きだったこともあって、ミシェル・ルグラン繋がりで知り得た作品ですが、 個人的に永遠の傑作と断言したいですね。 美しい人妻に思いを寄せる少年の葛藤。 永久不変のテーマだけで傑作とするには短絡的すぎるでしょうが、 この作品には名作だけが持ちえる独特の抒情が徹頭徹尾漂っていました。 ルグラン作曲の流麗な旋律が醸し出す、青い果実の苦い酸味を感じながら 観客は自然に感情移入していきます。 最早ストーリーすら断片的に記憶しているにすぎず、主人公の表情すら思い出せません。 しかし、少年と結ばれる時のジェニファー・オニールの深い悲しみを湛えた瞳。 それだけは今も、忘れじの蒼き夏の日と共にこの胸に残っています。 ラス!トで語られる主人公の回想「この時以来、私は少年の日を永遠に失った」、 もう溢れる涙を抑えられませんでした。 青春という言葉を強く愛惜せずにはいられなくなる、永遠の名作です。
ジェリー・マリガンが盟友ボブ・ブルックマイヤーやズート・シムズらと組んだ6重奏コンボを率いてオランダのクラシック音楽の殿堂であるコンセルトヘボウで行ったライブ。カルテットでもチェット・ベイカーやアート・ファーマー,ボブ・ブルックマイヤーとフロントを組んで素敵なアルバムをリリースしているが,セクステット編成をとることで,その対位法的アプローチはさらに磨きがかかっている。もちろん痛快なスイングも健在。ピアノレスにこだわり,コードの呪縛から解き放たれた彼らが奏でる音楽は無上の喜びに包まれている。残念なのはこれだけ貴重なライブの録音状態がよろしくないこと。歪みは多いし,レンジが狭い。これがなんとかなれば最高のアルバムなんだけどな。だから☆4つ!
ゲッツとマリガンが楽器を交換して吹いている。バリトンを吹いてもゲッツはゲッツだし、テナーを吹いてもマリガンはマリガン。曲によって入れ替わる。どっちがどっちか判別できるようになれば一先ずジャズ初心者は卒業。 リラックスした雰囲気がとてもいい。
スクリーンを通じてのひとつの確かな記憶を刻みにいく場所が映画館であるならば、この映画はぜひ10代のうちに見ておいてほしい映画。そして、かつて年上の女性に胸ときめかせた記憶のある「かつて少年だった」人たちにはぜひ記憶にとどめておいてほしい映画です。この映画に出ているヒロイン役のジェニファー・オニールはその後「ペーパー・チェイス」等にも主演していますが、この映画での美しさでいつまでもかたり告がれています。「冒険者」のジョアンナ・シムカス、「アメリカの夜」のジャクリーン・ビセット、「君がいた夏」のジョディー・フォスターなどに胸ときめかせた方にもお奨めです。この映画はある種の青春コメディとしても楽しめるシーンがあり、その後ヒットしたイスラエル映画「グローイングアップ」でも模倣された部分があるなど、いろいろな楽しみ方ができる。
村上春樹という人の音楽に対する造詣は本当に幅が広く、ロックだけならある程度ついていけるけれど、その頃にはどちらかといえばロック以上にジャズとクラシックにはまっていたというから驚きである。ビートルズを横目で見ながらジャズとクラシックを聞いていた!!!僕には出来まへんな。クラシックはもう到底無理なので、JAZZについてはここでピックアップされたものをちょっとずつ聞いております。ただねえ感性の違いというか衰えというか、天才と凡人の差を感じる日々です。
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