ユーズド→ユーゲーの巻末を彩り続けたゾルゲ市蔵先生のマンガの単行本。
書き下ろしや著者による作品解説も掲載されてるとのこと。
過去の著書(「謎のゲーム魔境」シリーズ他)に匹敵する…いや、それ以上に凶悪な毒があります。
耐えられないと思う方は、読む/読まない以前に興味すら持たないほうが賢明です。
猛毒な上に、現在のところ解毒剤は見当たらないので(苦笑)。
イース関連の特集本はファルコムが監修したもの以外では最近は殆ど存在しないので
資料としても嬉しい一冊です。
ただ、ライターの方々は殆ど音楽を絶賛しているますがほかの部分に関しては殆ど手をつけていません。
それだけ音楽が素晴らしいということは解ります。
しかし、システムやシナリオのことについても出来ればもっと触れてほしかったなぁと思いました。
ライターさんの熱い文章は必読必須ですがw
昨今のゾルゲ氏は、本業のゲーム制作で作ったサンダーフォース6が非常に残念な事になってしまったため大バッシングを受けている真っ最中ですが
こっちのほうは傑作なのであまり偏見を持たないで欲しいなと思ってます。
一番好きな話は第8話。X1に雑誌掲載のマシン語(膨大な量)を入力して内山亜紀のロリコン画像を出力させようと奮闘する話。
読み飛ばし防止に定規を活字に当てて目印にするなど、涙ぐましい努力が描かれています。
エロが見たいがために必然的にコンピューターに詳しくなっていった人は多いだろうと思います。
全てが水泡に帰す切ない(というほどでもない)ラストも含めて最高です。でも花火は危ないので止めましょう。
後半のアニメ制作編はゲーム漫画としては多少逸脱しているので賛否両論ですが、当時のアニメ自主制作ブームの熱狂ぶりが窺えるため、「DAICON4」という単語にときめきを覚える人は読んで損は無いと思います。
密着マルチの撮影台を手作りしてしまうなど、当時のアニメ学生のバイタリティの高さには驚かされます。今だったら安価になったRETASかなんかで簡単に出来てしまうんだろうけど。
「五大湖フルバースト」というSF相撲漫画に関する意見を ネットで見ていたら(うろ覚えで申し訳ないが) 「横綱大社長」「大相撲刑事」と並び称されていた。
「横綱大社長」は未見であったが、 なんと単行本化されているではないか! と驚き早速購入。これは確かに凄かった。
当時のモーニング/パーティー/アフタヌーンのノリって こんな感じだったな・・・と思い出すような、極めて「知的」なバカ漫画。 それでいて情熱や男気に関しては一本筋が通っている。熱い。 感覚的に近いと感じる有名作で言えば「岸和田博士」が挙げられるかなと感じた。 知性と技巧に裏打ちされた、インテリジェンス溢れる大バカ漫画である。
その意味では「五大湖フルバースト」とは似て非なる作品だ。 「五大湖」は愚直なまでにベタなメロドラマを、あり得ないほど ハイパーな画風と設定で押し切ったことに奇跡がある。 有無はさておき、インテリジェンスが決して透けて見えたりはしない。 「横綱大社長」は結果的に、読者のインテリジェンスを要求するだろう。 そういった作品は残念ながら一部の好事家にしか理解されず、支持されづらいものだ。
大衆性を獲得し得る「五大湖」に対し、この作品は、そうではないと思う。 しかし圧倒的に屹立した「無」であるにも関わらず、憧憬を抱かざるを得ない 横綱大社長のキャラクターにあるスケール感は、やはり魅力的だ。 90年代半ばにして喪失された、モーニング系キャラクターのマッチョイズムが、 ここにも生きていた、という事実を噛み締めるのみである。
思い出すといい。あの頃のモーニングには強い男しかいなかった。 播磨灘しかり、海江田四郎しかり、島耕作しかり、宮本しかり、灰原しかり、 丸麻照男しかり、時田強士しかり、REGGIEしかり、曹操しかり、遊佐朗しかり・・・
彼らは今、どこに行ってしまったのか・・・。 「バガボンド」の宮本武蔵がいくら強かろうと、 上記のキャラクターの誰にも勝てるとは、微塵も思えぬのが 今のモーニングという誌面なのであろう。
話は逸れたが、そんなモーニング系列誌に対するノスタルジーを満たしてくれる 本作ではあるが、併録されたコピー漫画やバカ漫画の類いも、かなり面白い。 「横綱大社長」とは、まったく関係のない作風だが、ゲームに疎い私ですら なんか笑わされてしまう。作者コメントのヴォリュームも凄く、サービス満点である。
そして極めつけが初回限定のCDなのだが、これが漫画以上の出来、と 言ってしまうと作者に対して無礼なのかもしれないが、正直素晴らしい! 本書は2000円ほどするので、なかなか手が出しにくいと思う。 が、発想を逆にしてはどうか?
1時間も音源を収録したCDに、300pもの面白い漫画やコメントを 大量に収録したブックレットがついてくる商品である、と!
そう考えると、この値段は破格なまでに安いとしか言い様がない。 何故か!? この初回版CD、めちゃくちゃにクオリティが高いのである! 購入当初、どうせ漫画家の余芸とナメて、全然聴かなかった私だが、 気まぐれでiTunesに読み込ませて再生してみて以来・・・・・・・ 連日ヘヴィローテーションである。毎日、鼻歌に出てしまう。
嘘でもステマでも何でもなく、この楽曲と演奏・歌唱のレベルは オマケCDの域を超えている。カラオケに入ってたら瞬時に入れて歌う! それほどのものであり、もっと評価されるべきである。 いや、カラオケに入れてくれ!むしろ!!!
頭の3曲など、それだけが本書の値段で売られていても、 不思議ではないほどの出来である。 それ以降のゲーム風のBGMも、何かのゲームで正式採用されていておかしくないレベルであるし、 ここまで凄まじいサービスが、もし世間ではスルーされているのだとしたら、 これは由々しき事態である。この本、いや、このCDはもっと売れてしかるべきだ。
「横綱大社長の歌」は、どう考えても大名曲。 今年聴いたどんな名曲よりも脳内に残ってしまう。 あまりにも勇壮で、ヒロイックで、カッコいい! 「えびいぬくん」も、聴けば聴くほどハマってしまう・・・。
漫画好きよりも、「最近アガる曲ないな〜〜〜」とか思っている貴方! そんな貴方こそ、この本を買うべきだ。 つまらないCDをジャケ買いするより、遥かに打率は高いと保証する。 こんな名曲が漫画家の余儀として黙殺され、評価されないのだとしたら、 それは日本の音楽界にとっても損失であると言い切りたい私である。
謎のゲーム魔境第3弾はついにMSXの登場である。MSXと聞いて何かを感じ取った人はぜひこの本の購入をお勧めする。MSXという統一規格の提唱から大量のゲームソフトリストにレビューもつけてこれでもかと言わんばかりに著者であるゾルゲ市蔵氏の愛と憎悪と無駄知識で溢れている。ただ、情報がかなり妄言奇言であり信じて友達の前で披露すると恥をかく事うけあい。もちろんネタなので、その辺が素人にはお勧めできないのが残念だが、逆に言えば当時を知っている人なら大受けする事間違いなしの超お薦め本である。ニタリ笑いはもちろん思わず吹き出してしまうので電車の中では読まないように。
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