「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「ナイト・オン・ザ・プラネット」に比べると、ジャームッシュ初心者には入っていきやすいし、なにより面白くて可笑しいです。後に「ライフ・イズ・ビューティフル」でイタリア以外でもブレイクするロベルト・ベニーニは、こっちの方が全然いいし演技も臭くない。ジョン・ルーリはクールだし、トム・ウェイツは最高だ。「ストレンジャー・ザン・パラダイス」よりこっちの方が好きだというのは、こっちの方が楽しいからだ。エンディングの曲がトム・ウェイツの映画はまずハズレがない様に思える。「スモーク」なんかがいい例だ。
今回、20年ぶりくらいに視聴した感想です。キャラ同士の延々と続く無駄話が紡ぐオフ・ビート感、スタイリッシュな映像、素人俳優を含むんだけど存在感のある渋い演技陣、等など、他の作品にも通じるこの監督の個性は存分に発揮されています。Blu-rayでこの作品を見るとしたら、やはりこのモノクロ映像の色がどうなるのか、という点が評価のポイントとなりますが、河をボートで下るシーンの水面や夜闇の色艶が増している一方で、(現実的にそんなにいじりようがなかったのかもしれないけど)全体としては元のフィルムの色味の粗さが良い感じで残っていて、味わいは変わってません。(こう書くと画質ヲタクっぽく読まれちゃうかもしれないけど、敢えてモノクロ・フィルムを選んで、ヴェンダース初期三部作の撮影監督だったロビー・ミューラーを起用したジャームッシュの意図を汲むと、必然的にこのフィルムの色合いがどう料理されているのかという点は重視したくなるのです。)まだHD画質では未視聴の「スト・パラ」の白色がどうなってるのかも、興味があります。
ゴテゴテした飾りを排してポンと何気なく観客に手渡したようで、実は上に書いたような全ての要素がハリウッド的な映画づくりへの批評になっている本作。80年代の米国映画において、この監督がどれだけ重要だったかということが思い出されます。
本の状態が非常に良好で、楽しく読了いたしました。感謝。
パトリック・ハンフリーズは、 92年に出たトム・ウェイツの評伝『酔いどれ天使の唄』の 著者でもあるのだが、本書はリメイクではない。 今から思えば、前著はトム・ウェイツのキャリアの中間地点でしかなく、 それから2倍近いキャリアを重ねた、今もなお・・・というよりも、 より一層、過激に、自由に、音楽活動を続けるウェイツの、これは最新評伝。
ケルアックの『路上』に憧れた若き日々から、 「酔いどれ詩人」というキャラクターを作りだした70年代、 コッポラやジャームッシュとの映画の仕事など、 トム・ウェイツを通して見るアメリカン・カルチャーも興味深い。
金原瑞人氏の翻訳による、いかにもな「ウェイツ節」は読みやすく、 巻頭の珍しいスチール写真の数々(だいたい同じ顔(笑))も嬉しい一冊。
トム・ウェイツという男は、決して「酔いどれ」ではない。 この本から感じるのは、独自の「言葉」と「音楽」の可能性を追求し続ける 頑固でストイックな音楽職人の姿だ。
発注して届くのに3週間かかり、怖かったそれだけです。 船便だからしょうがないし、結果手に入れられたので、嬉しいです。
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