最初に、この漫画を読んで、あまりに生々しく描かれた闇金会社とそこに取り巻く人間達を見たとき、かなり鬱になった覚えがある(漫画だからと笑い飛ばせなかった)。もう一回読む気は起こらなかった。
でも、いつの間にか続きを読んでいた。怖い物見たさもあったが、それ以上にこの漫画で描かれる人間の弱さ、怖さ、醜さ、リアルさに惹かれていったのだと思う。そして、そんな彼らがどんな最後を迎えるのかが気になって続きを読んでいるのだと思う。
話の先が読めず、続きが気になってしまう、これはそんな漫画だ。
雑誌では一応読んでたんですが、単行本でまとめて読んだらこれが意外とぐっときた。真鍋先生の本領発揮でしょう。
筋はホストとその彼女の悲恋もの。ウシジマくんでは出尽くして少々飽きさえしてる裏の世界の嫌さ(段々とホラーの類型になってるのが興味深い)をまじえつつも、ベタとも言える悲恋ものがなぜかぐっとくる。
なぜか。これが思春期・青春期の挫折の物語だからです。
真鍋先生の昔からのファンはご存知でしょうが、先生は昔から「青春の蹉跌」を描いており、これが非常に良いのです。
ウシジマくんにおいても、ギャル男くん編のギャルサーイベントの乱痴気騒ぎとその祭りの終わりを予感させる寂しさ・ゲイくん編の花火を見上げるラストの言い知れぬ味わい・サラリーマンくん編で地獄へと向かう友人が輝かしかった若き日を思い出すあの感じ・トレンディーくん編で友情を確認できた二人が最後希望に満ちたように並んで歩く(そしてその後残酷に終わったという後日譚も含めて)あの感じ。
眩しいばかりの青春期と、それが有限のものであると思い知らされる挫折・破滅のコントラスト、それこそが真鍋先生の真骨頂であると思います。
個人的に思い入れの深いアフタ時代の佳作「THE END」のラストに出てくる猫が、この巻にも登場します。「THE END」でも猫一匹だけが広い外の世界で生きるというラストなのですが、このホストくん編でも残酷な閉じた世界からするりと抜け出し外で生きていくのは猫一匹。自由さを持たない人間は思春期に一度死に、別の何かになってこの狭い世界に生きます。
原作マンガは読んでいたが、ウシジマくん役の山田孝之が絶妙なキャスティングで、そこに興味があって観た。 バイオレンスでアンダーグラウンドで、なかなかハードな映像だ。 一般人にはあまり縁のない世界なので、そういうディープな世界も覗いてみたいという、ある意味、怖いもの見たさのお化け屋敷的興味をそそる作品である。 パチンコ、金貸し、クレジットカード、欲望の増幅装置が世の中にはあふれている。だから、おのれの欲に無自覚だと、すぐに罠にはまってしまう。現代社会はトラップだらけだ。大島優子演じる鈴木みこも、いったんはトラップにかかってウラの世界の入口に立つが、なんとか踏みとどまってオモテの世界に戻ってきた。全体に救いのない登場人物ばかりだが、ここだけが本作の救いだ。 妙な話だが、登場人物の中でウシジマくんがいちばんまともな人間に見え、逆に闇金の被害者たちはなにかの亡者のように見えるのが面白い。現代の地獄に生きる亡者と閻魔さま、といったところか。まずよくできた「ホラー」であった。
まだ何者でもない。なにも出来てない。自分の立ち位置も居場所も見つからない。 でも前に進まなきゃなんない。覚悟を決めろ!
そんな心の叫びが画から聞こえてくるほど切実で苦しくなるほどの作品でした。 真鍋氏の原点とも言えるこの作品は 絵のタッチも荒削りで隙間もたくさんあってまだまだ未熟な部分はたくさんありますが だからこそこの主人公に重ねて見ることが出来たし 生の気持ちが伝わってきました。
この初期作品は完成されてないからこそ 真鍋氏が根底にかかえている核のようなものがむきだしで表現されていて 本当に心に響きましたね。
暴力描写がひとつの側面にはなってますが内在するものは深くてピュアな印象が強く残りました。
14編の様々な種類の話が読める。短編集にしては不出来な作品が少ないと思いました(NOLIFE〜とハトくんは微妙でしたが)。 個人的には憂鬱滑り台やかわりめ、星に願いを、表題作の青空のはてのはてが特に好きです。 救われない話だったり理不尽な話もあるけど漫画として面白いと思ったので星は5にしました。読み応えもあります。
|