非常に良質なコミック化だと思います。
コミック化された中で一番の面白さだと思います。
文豪・菊池寛の粋を集めたような魅力的な短編集。
人間の不条理さ、弱さ、そして強さを切れ味鋭く描き出してみせるその筆致はさすが!
表題2作はもちろん(実に対照的な)名作ですが、
個人的には「俊寛」が面白い。
あの歌舞伎でも有名な”悲劇”を、こんな風にひっくり返してしまうなんて!
(詳しく書くとネタバレなので止めますが)いや〜、お見事です。
大量に人が死ぬわけでないし爆弾が爆発したりテロが起きたりするわけでなし、登場人物もわりに多く見かけるタイプ。無個性だけどテンポのよい文章。 だけどひとつひとつの場面をしっかりと丁寧に描いているし、ストーリー自体も大風呂敷を広げなかったおかげでリアリティがあり、すんなりとのめり込むことができました。 読んで損する作品ではないと思うし続編も読みたくなる作品です。
漫画家さんが代わっていますが、問題ないです。 絵がモノクロでありながらも、水彩画のように美しいです。暖かく柔らかい感じがします。 たまたまなのか、コミックスを開こうと手に取ると、1ページだけ黒の縁が気になって、開くと衝撃的な絵が…。 カバー裏も知る人ぞ知る衝撃ですが。 ラブラブな天王寺夫妻と、鈴のやり取りは温かいですが、鈴に急激に迫る体内のゼリー化に、天王寺に迫る命令。 鈴にラボメンの記憶が有る、この世界線←お別れ会での料理。では鈴の自殺は防げましたが…。 細かい所まで丁寧で、お馴染みの牛丼屋やチラッとフェイリス親子も。 妻の死の真相も分かりますし、生まれるかもしれなかった綯の弟妹の存在も。 天王寺の人生は鈴にも劣らず凄まじかったことでしょう。優しい母の記憶と死、孤児になりSERNに拾われ、過去に送られる…。自らに銃を向ける天王寺の最後の思い、家族への愛情、鈴への感謝…切ないです。特別章での若き鈴羽との出会いが、せめてもの救いです。 讐は引き継がれます…。 乱文失礼しました。
短編集。 菊池寛の短篇十話。 三浦右衛門の最後 忠直卿行状記 恩讐の彼方に 藤十郎の恋 形 名君 蘭学事始 入れ札 俊寛 頸くくり上人
解説として「注はいるまいとおもうが」 を小島政二郎が書いている。
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