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芹　洋子　　おもいでのアルバム

宵待草 [DVD]

これは朗報だ。

７４年東宝で、石川達三の原作を換骨奪胎し、このコンビでしか創作しえなかったであろう「青春の蹉跌」をものにした神代辰巳＆長谷川和彦のコンビが、本家にっかつのフィールドで、正月映画の枠で（笑）、恋も政治も革命もセックスもみんな詰め込んでみました、みたいなアナーキーでメルヘンチックな作品を撮った。それが、今作である。

この映画、当商品サイトの詳細解説の通り、映画ファンとしては至極そそられる面々が顔を揃えているし、神代辰巳が、にっかつから離れ、他流試合の如く東宝で何本か撮った時期に、にっかつでもロマンポルノならぬ一般映画として撮った唯一の作品として貴重なのだが、今までＤＶＤソフト化はされていなかった。
自分はずっと昔ＴＶの深夜劇場で観たきりで記憶も曖昧なのだが、大正アナーキズムを題材にしながら、決してマジメで硬直化した作品ではなく、飽くまでもお遊び感覚で楽しみましょう的な疾走感と呟きミュージカルみたいなアンニュイ感がマッチしていたような気がする。
浅草の活動小屋が舞台だったのが、いつしか東北へと流れ、田舎の山々と集落を映し出すが、荒涼としたうら淋しさと明るく楽天的なセックスは、やっぱりいつもながらの神代辰巳の世界。
気球に乗ったり、逆立ちをしたりと、俳優たちも伸び伸び演じていた。
主演は高橋洋子と高岡健二、どちらも７０年代の売れっ子役者だったが、今、どうしているのだろう。

神代映画の数多い傑作群のひとつとして挙がるべき今作だが、何故か、殆ど知られていない。
もっと評価されてしかるべきだと思うし、今回のＤＶＤ化で、その気運が高まっていく事を祈りたい。