一巻からずっと読んでいますが、この漫画は格闘技をわかりやすくかつ魅力的に描いてくれるのがとてもいい。
以前の巻のアマレスラーとの一戦での首相撲もかなりななるほど感があったが、今回の首を押さえてのバックステップも、言われてみれば見たことはあったろうが、わかりやすく、かつ何気にすごい、有用なテクニックなんだな、という感じが伝わってきた。
ト
レーニング風景を毎回丁寧に描いているのも好印象。ト
レーニングを全然しない、ファンタジーなバトルものや、サボっててもセンスでなんとかなる、ような話が漫画やラノベであるが、リアルな格闘技を描く上で継続的な地味な練習風景は必要不可欠だ。
ファンタジーなバトル漫画はそれはそれで魅力がないわけではないが、地味で継続的な練習をこなして結果を出すというエピソードは胸にくるものがある。
今作の主人公だと大学受験はどうなるかやや不安だが(笑)
また、リアルな格闘技だと、どうしても殺伐とした雰囲気があるが、ところどころにまじえたギャグがそれをいい意味で打ち消している。
続巻が楽しみな一作
私は遠藤浩輝の本はこれだけしか読んでいません。ですが見事な短編集であると言えるでしょう。すべての短編に流れている通念は「痛み」と「存在」です。人の痛みを知ることと、自己の存在の探求が描かれています。どこか自己の居場所を持て余している、ヤクザや少女や大学生たちが繰り広げる人の痛み、それは凄惨な暴力などではなく、自己の悲鳴にも似たものではないかと思われます。もちろん文句なしに面白いです。個人的に好きなのは「きっとかわいい女の子だから」です。