ここを開いて読んでいるあなたは、十中八九、
トルストイ女史をご存じで、意識してここにアクセスしておられると思う。
先にお詫びしたい。私は滅多にヴォーカル作品を買わない、本来はコメントする資格のない聴き手である。
彼女の作品は三枚所有しているが、彼女のファンだからではなく、ブックオフで250円だったから。
そもそも、彼女の歌唱には、私はあまり
ジャズ的な臭いを感じない(むしろ、R&B畑のデニース・
ウイリアムスを思い出してしまう)。
そんな私が、彼女のファンも多く訪れるであろうURLにアクセスし、なぜ最初のレビューを投稿するのか。
それは本盤が、単なるファンのためのアルバム以上の、ひとつの
ジャズ作品として、
立派にお薦めできるものになっていたからである。
本盤は1997年に発表された作品で、プロデュースをエスビョルン・スヴェンソンが担当。
この前年、彼は『ヴェニスの冬』を発表、本盤が発表された1997年の
スウェーデン・グラミー賞受賞者となる。
単なるキースのフォロワーから飛躍して、トリオとしてのトータルな世界観を確立した時期であった。
その後のESTに現れる、ドラムンベース風のグループ・ミュージックと、キースの流れを汲む
オーソドックスな北欧トリオ。その両者が危うく均衡していたこの時期、彼はその短い生涯の中でも、
特別な光を放っていたと思う。
北欧圏で初めてのブルーノート契約ヴォーカリストとなったトルストイ女史がこの時、
自身のブレーンとして、まさにピークを迎えつつあったスヴェンソンに白羽の矢を立て、
全面的に彼の音楽観に依って作品を制作。
この僥倖におどろき、それを実現させた彼女の並外れた慧眼に感服した。
ドラムンベース風のリズム、器楽伴奏、クロスオーヴァー風のシンセをあしらいつつも、
充実したトリオの演奏は深々と、アルバムに屋台骨を通す。明確なコンセプトは、
些かも作品をだれさせない。プロデュース力の勝利である。
スヴェンソンの高邁な音楽性と、良い意味でやざくれたヴォーカルが幸福に溶け合い、作品の質は
単なる女流ヴォーカル作品の枠を遙かに超えた、第一級のコンセプト・アルバムにまで達している。
トルストイ女史の作品としては異質なのかも知れない。
もう発売から数年が経っているのに、誰一人コメントしていないのだから。
しかし逆に本盤は、一個のシリアスな
ジャズ作品として、トルストイ女史のファン以外にも、
広く聴かれる価値のある作品になっている。当時、
スウェーデンで最鋭端を走っていた演奏家の
描く、シリアスな
ジャズ音楽。多少チャレンジングな内容かも知れないが、ぜひご一聴をお薦めしたい。
これが出てから半年以上、毎日のように聴き続けている。飽きない。
どうしてこんなにナチュラルに音楽をやれる人たちが存在するのか不思議でならない。それはきっと彼らのライフスタイルに奇跡的に合致しているからなんだろう。
M.7 "Pressing"では、イントロのギターのメロディラインからまず骨抜きにされ、次にボーカルに骨抜きにされ、唐突に現る
トランペットに骨抜きにされ、そして完全なボサノバへの転調で腰が砕け、気付いたら僕は脂肪と皮だけになってしまうのだ。アウトロの締めまで抜かりなくハイセンスだ。
捨て曲は無し。アルバム全体の流れも至高の完成度。こんなに楽しそうに音楽を奏でて、こんなに素晴らしい作品を産めるなんて、ずるい。奇抜性や斬新性に追従する音楽に食傷だった僕の耳に、このアルバムは何の障りもなく、まるで水を飲むようにすんなりと浸透してきた。ああ、美しい。このままでいい。ルームイレヴン、ずっとそのままを生きて下さい。
人類初の宇宙遊泳を成し遂げたアレクセイ・レオーノフら宇宙飛行士や、その家族(遺族も含め)の証言と、当時の映像をリンクさせて、ソ連の有人宇宙飛行の歴史を概観することができます。
人類初の有人
衛星ヴォストーク1号の打ち上げ映像等、宇宙開発の輝かしい面だけではなく、ソユーズ1号と11号の悲惨な事故直後の映像も含まれており、宇宙開発の難しさを改めて痛感させられます。音声は
ロシア語ですが、
英語の字幕があります。
特典映像の「STAR MAN」は、人類初の宇宙飛行士ガガーリンの栄光と謎の死を扱ったドキュメンタリーです。こちらの音声は
英語ですが、字幕はありません。しかし、映像だけでも十分楽しめます。
ソ連の宇宙開発に興味がある方なら、入手して後悔は無いと思います。