・・・苦節17年?!
というのは大げさですが、
ついに!!
「日本 その心とかたち」DVD7巻セットが発売。
加藤周一さんが解説者として出演している、
日本の
美術史をまとめたNHK教育テレビ番組
(1987年11月〜1988年3月オンエア)のDVDです。
加藤周一さんをあまりご存知ない方には、
ジブリの高畑勲・宮崎駿両監督が、過去に大きな興味を持って視聴し、
深い感銘を受けたという価値ある映像を「
ジブリ学術ライブラリー」
シリーズとして復刊されたものの第4弾になります。
高畑勲・宮崎駿の両監督には本当に感謝、感謝です。
お二人にDVD化していただけなければ、
もう見ることができなかったか・・と思うと、ありがたい気持ちでいっぱいです。
早速、第1集「はじめに形ありき」を見る。
日本の縄文時代に作られた「火焔型土器」の
世界史から見た位置づけを考察するにあたって、
縄文時代と同じ新石器時代における最も洗練された文化を持った
マヤの地に、加藤氏は立つ。
そこで・・・、
「
メキシコの
ことに、マヤの
ことに、ウシュマールの
ことに、尼僧院の
ことに、東側の建物の
いま私が見ているこの建物は、おそらく人類の建築史上、
最高傑作の一つ・・・」
と、畳みかけるような言葉が
一編の詩を聞いているかのごとく
伝わってきます。
また、その論理展開は・・
歴史にもしもはないが、
この
メキシコのマヤのウシュマールの世界で最も美しい建築物を前にすると、
「火焔型土器」のような独自の美しい道具を作り上げた日本の縄文文化をみると、
もし大陸からの圧倒的な影響が弥生時代に入ってこなければ、
縄文文化がどこまで行き着いたかではないけれど、
どこまで行き着いたであろうかを示唆している、
と語る。
これが、
加藤周一の言葉であり、
論理であり
文章だったんだ、
と改めて思いました。
・・以上のようなぐらい思い入れがないと、
なかなか買えないお値段だ、と思ってもいます。
普及版のような形で出していただけないかな?!
加藤周一の朝日新聞のコラムを毎月楽しみにしてきた人はきっと私ばかりではなかったでしょう。それが今はもう読むことができないなんて、本当に残念です。私はその後、ポール・クルーグマンのコラムでその穴を埋め、なんとかしのいでいましたが、やはり加藤氏の視界の広さに比べたら、物足りないというのが正直な感想でした。そんな中、この映画の上映が知らされました。滅多なことでは上京しない私が静岡からこの映画見たさにわざわざ
渋谷まで出掛けたのでした。そしてビデオ化、もちろん購入しないはずがありません。加藤氏が過去の先達の
幽霊に会うがごとく、私はこのビデオで氏に再会できることがこれからの楽しみとなりそうです。