なんと歴史的名盤が¥1500で紙ジャケ、デジタルリマスターで再発。音質は、94年のCD選書Q盤と比較をすると、ダイナミックレンジ、音の切れのよさとも比較にならないくらい格段に向上。すでに持っているものを買いなおしてもあまりある価値を手に入れることができた。ありがとうHAGAKUREさん。
1976年発表の2枚目。当時大きな話題になった彼らの代表作です。前作「一触即発」は、ちょっと聴くと「ピンクフ
ロイドの日本人的解釈みたいな作品」でしたが、単なる物まねではない、シュールで味のある優れた作品でした。
しかしやはり彼らのオリジナリティはこの作品の方が、大きく発揮されています。本作は、例えば、サディスティック・ミカバンドの「黒船」のような、プログレという枠をも超えた日本のロック界屈指の名盤と言えそうです。
メンバーと主な使用楽器は、
森園勝敏:ギター、ヴォーカル
岡井大二:ドラム、パーカッション
坂下秀実:キーボード
佐久間正英:ベース
ちなみに当時、頭脳警察をやっていたトシがパーカッションで参加してました。
また佐久間氏は後にプロデューサーとして、大活躍される方です。
通して聴いて感じるのは、1枚目と正反対の音楽的多面性です。
ビートルズやレオ・フェレをカバーしたり、はたまたザッパ風の技巧かつ実験的なポップス、「泳ぐな
ネッシー」のようなドラマチックなプログレ大作、ギター・インストの超名曲「レディ・ヴァイオレッタ」にみる
ジャズ/フュージョン的展開・・・というように、この時点での彼らの音楽的挑戦は、とどまるところを知りません。
かといって散漫な印象は全くしません。本当に実に多彩なことをやっているのですが、アルバム全体としては、一貫して、「明るく楽しい四人囃子色」に染められています。
ただ惜しむらくは、この作品が、中心人物であった森園勝敏最後の作品となってしまったことです。詳しい経緯は知りませんが、きっとバンドメンバー個々の技量の成熟とその結果としての、ある種の煮詰まり感が、彼に一箇所にとどまることを潔しとせず、彼のさらなるステップアップを促したのでは、と推察します。
とは言え、本作が日本人のロックの頂点をなす傑作であることは紛れも無い、事実です。