打ち切り常連のなみえはんにして、ついに１０巻まで来る作品が生まれるとは…
設定やキャラクターに安定感がある気がします。

　世界の秩序を守る白エスパーと世界を混沌とさせる為に活動する黒エスパーの戦いをご近所３町目と学校(たまに熱海)迄に限定して描いた超能力少年少女学園ホームコメディ。
　本来は秩序の保護者たるべき主人公のエスパーねじめが、冒頭から機能不全状態で、素晴らしい下ネタと子供達の織りなすカオス状態を関西的なシュールかつ身近なギャグで描いた唯一無比の作品でした。
　単純な善悪の対決物には早々に見切りを付け、どんどん面倒くさい方向へ話がずれていく様子は大変スリリングでした。
　当時既に良い歳の大人だった筆者には大変面白かったのですが、惜しくも２０回で連載終了となり、現在の所、尾玉氏最後の週刊少年ジャンプ連載作となっています。
　物事が秩序だって上手く行く事なぞ少なく、世界は混沌としていると言う教訓が子供にも解り易く描かれて居た怪作です。
　途中挿入される大変リリカルで普通に良い話のめめんとちゃんと、上目おろち（へび）くんのエピソードなぞ、尾玉氏の｢やれば出来る。でもやらない！｣的な難儀な性質が良く出ています。

　以前少年ジャンプコミックスから出ていた週刊連載版と、短篇集「ロマンティック食堂」に掲載されていた1999年と2001年のプロトタイプ2編、没ネーム、新作描き下ろし、オマケ漫画を統合した完全版です。

・週刊連載版全20話
・プロトタイプ
「丸くやわらか編」39頁。
「角張って堅い編」20頁。
・2014年描き下ろし
「10年後のセカイ -あの日見てない花の名前なぞ知るわけながろうが~-」９頁。
・没ネーム集20頁
・前単行本の幕間に挿入されて居た1頁漫画
１．うーほーエスパー
２．乙女光線照射中
３．ねばっこい本
４．お怒り校長先生
・スパナ=エッセンドルフ作詞による
「動物王の歌」の歌詞。
　・ねじめとは関係ない四コマ漫画３編
　そして表紙カバーの前後袖には本書を新刊で購入した読者に対する感謝の気持ちと、古書店で買った読者に対する呪詛付き。

　しかし、１０年後の世界のねじめくんの姿は酷い。酷すぎます。

気が付いたら新刊出てた。よく続いてるな。
相変わらずの表紙詐欺やってますね。尾玉なみえの漫画がこんなファンシーなわけないじゃないですか。
相変わらず真っ黒なギャグの嵐です。
相変わらずボケと突込みが絶妙です。シモネタ満載です。ちっとも衰えませんね。っていうか悪乗り加速してますね。
今回はザイアーさんの活躍少ないなぁ、きよわ君のお姉さんネタ多いなぁ、と思っていたら後半にパンチの効いたザイアーネタありました。相変わらずザイアーさんクズ過ぎます。
相変わらず面白かった。